大相撲秋場所(9月10日初日、東京・両国国技館)の新番付が28日、発表され、錦木(33=伊勢ノ海)が史上3位のスロー出世となる、初土俵から所要103場所で新三役の小結に昇進した。東京・文京区の部屋で会見した錦木は新番付を見て「小結の下に自分の名前があるのはうれしい。『遅かったな』というよりは『頑張ったな』と思う」と、喜びをかみしめた。2年前には十両下位まで番付を下げていたが、東前頭筆頭だった先場所に続き、2場所連続で自己最高位を更新した。

所要103場所での新三役は、初土俵からのスロー出世としては、史上1位の玉龍の107場所、同2位の琴稲妻の106場所に次ぐ記録で、100場所超えとしても3人目だった。3日前の今月25日に33歳の誕生日を迎え、33歳0カ月での新三役は、年齢としては史上6位の高齢(1位は34歳9カ月の潮錦)。秋場所初日には、看板力士として横綱、大関らと並んで初めて協会あいさつも行うが「緊張すると思う」と、初々しく話した。

同席した師匠の伊勢ノ海親方(元前頭北勝鬨)は「本人の努力。稽古の成果。部屋の若い力士にとっても『頑張ればできる』と思わせた。33歳はベテランの域かもしれないけど、本人の気持ちは若い。31、32歳でやっと相撲を覚えてきたぐらい(笑い)。若い時からずっと変わらず、稽古量を維持しているのは、なかなかできることではない」と、稽古熱心な姿を代弁した。

錦木は「33歳は中堅かなと思っています。(38歳の)玉鷲関とかもいるし。スロー出世というのは、言葉としていいものなのか分からないですけど、記録に名前が残ることはうれしい」と、胸を張った。中学卒業後の06年春場所で初土俵を踏んでから、17年半かけて新三役にたどり着いた。ただ、まだここで終わりなど、全く思っていない。「現役でいる限りは上を目指したい。関脇、それ以上も目指していきたい」と、さらに上を見据えた。

現在、体重は自己最高の183キロ。肉体的にも成長していることを証明。先場所は金星を含め、出場した関脇以上を総なめして近づいた初優勝と賜杯は「昔からほしい、とは思っている。誰もがほしいもの。変わらず目指していきたい」と、意欲を示した。岩手県出身としては戦後4人目の新三役は、秋場所で再び優勝争いの台風の目となる予感を漂わせていた。