大相撲の小兵力士として幕内上位で活躍する翠富士(27=伊勢ケ浜)が、大安とバレンタインデーが重なった14日、東京・江東区の富岡八幡宮で、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が媒酌人を務める中、挙式した。お相手は、名古屋市出身の千尋さん(23、旧姓川本)で、昨年10月4日には、第1子の長女一華ちゃんを授かっている。

入門1年目の17年名古屋場所の部屋パーティーで初対面。もっともこの時、後援会員の娘さんだった千尋さんは、まだ高校生で顔見知り程度だったという。その後はコロナ禍もあり、全く交流はなかったが、22年7月に久々に再会。「久しぶりに会って『きれいだな』と思った」という翠富士の積極的な気持ちもあり、その1カ月後、上京した千尋さんと交際をスタート。さらに、その2カ月後には九州場所に備え空路で博多入りする羽田空港で、見送りに来た千尋さんに「帰ったら籍を入れようか」というプロポーズの言葉とともに、用意していた指輪もサプライズでプレゼント。年が明けた23年3月29日に婚姻届を出した。そして10月には女の子も授かる、まさに“速攻相撲”。そこは翠富士も「(自分は)スピード相撲なんで」と笑った。

お互いの印象について、翠富士が「何か合うものがあった。フィーリングです」と言えば、千尋さんは「常に真っすぐで真面目な方だな、という印象です」と話し、結婚までのスピード感にも「行動力は疑いようもなくて安心しています」と信頼の言葉を寄せた。生後4カ月の一華ちゃんについては「子どもを扱うのが難しいから、ご飯を作ったりして(千尋さんを)サポートしています」と翠富士。そんな夫を千尋さんは「料理は何でも作ってくれます。とにかくかわいがってくれるし、お父さんらしくなってきました」と評した。

得意の肩すかしを食らうことなく? 順調に新婚生活をスタートさせた翠富士。1月の初場所は綱とりの大関霧島(27=陸奥)を破るなど、存在感を見せたが5勝10敗と3場所ぶりに負け越した。結婚を発表して初めて迎える3月の春場所(10日初日、エディオンアリーナ大阪)に向け「成績を落としたら奥さんのことを言われるから、言われないように頑張ります。三役に上がれるように」と決意。昨年の春場所は初日から10連勝し、優勝争いを引っ張ったが、残り5日は5連敗を喫した。番付は少し落とすことになるが、自己最高位(西前頭筆頭=22年秋場所)を更新する、念願の新三役に向け心機一転のスタートを切る。