新十両で西十両14枚目の草野(23=伊勢ケ浜)が唯一の無敗を守った。1敗だった日翔志を上手投げで退けて6連勝。新十両力士が優勝すれば、昨年初場所を制した兄弟子の尊富士以来となる。2年前の学生横綱で、昨年夏場所で幕下最下位格付け出しデビューから6場所目。ざんばら髪を振り乱し、このまま一気に突っ走る。幕内は大関大の里、東前頭4枚目高安、西前頭12枚目阿武剋、西前頭14枚目美ノ海の4人がトップの1敗で並走する。
十両28人の力士の中で最も番付が低い西14枚目の草野が、単独トップをひた走る。この日は好調力士の日翔志に押し込まれそうになったが、左からの上手投げで無敗キープ。勝負を決めた土俵際の攻防について「得意というか、最後の手段で昔からよくやってきた。稽古でもよくない体勢から残る練習をしている」と胸を張った。
日大出身で2年前の学生横綱。初土俵から5場所で新十両に昇進した。伊勢ケ浜部屋付きの宮城野親方(元横綱白鵬)は、「15日間相撲を取るのは草野にとって初めてだけれど、逆に、気楽にいっているのかな」と推察。体の張りが出て、体重も増えてきたというのが大横綱の見立てで、「5キロでも6キロでも増えれば、立ち合いの重みも出てくる」。今後の伸びしろもたっぷりだ。
最多6人の幕内力士が所属する名門・伊勢ケ浜部屋所属。春場所前には兄弟子の翠富士や尊富士らと通天閣周辺に足を運び、大阪の味を堪能した。店内のいけすで自分が釣った魚や、兄弟子たちが豪快に釣り上げた伊勢エビなどで舌鼓。「串カツもおいしかった。お酒もかちこんだ」。気持ちをリフレッシュして初日を迎え、白星を並べている。
熊本の“競輪一族”の出身で、家族や親戚に競輪選手がずらり。父・信一さんは元選手で、父のいとこには大レースの常連だった森内章之さんもいる。競輪レーサーのDNAを持つ力士は、幕下付け出しデビューからわずか5場所で十両昇進を果たした。さらに、兄弟子の尊富士以来となる新十両優勝へ。打鐘前から猛スピードで駆ける。【奥岡幹浩】
◆草野直哉(くさの・なおや)しこ名は本名。2001年(平13)6月25日生まれ、熊本県宇土市出身。伊勢ケ浜所属。6歳から相撲を始め、熊本・文徳高から日大に進み、23年世界選手権男子重量級優勝。同年には全国学生選手権個人戦を制して学生横綱に輝いた。24年夏場所で初土俵。183センチ、146キロ。得意技は右四つ、寄り。

