SKE48高柳明音(26)が出演する映画「ONLY SILVER FISH-Water tank of MARY’S room」(西田大輔監督)が24日、東京・池袋のシネ・リーブル池袋などで初日を迎える。

高柳は1月に上演された舞台版にも出演していたが、映画版ではまったく別の役に挑戦した。超難解な脚本、カメラの緻密な構図など、過去にない苦労を振り返ってもらいつつ、来年のデビュー10周年についても語ってもらった。

  ◇   ◇   ◇

物語は、時間も場所も明確にされていない、とある洋館を舞台に繰り広げられる。10人ほどの登場人物の目的は、なぞの魚「オンリーシルバーフィッシュ」。魚の本当の名前を知ることができれば、過去に戻ることができるが、それを知ることができるのは、ゲームに勝ち残った1人だけ。不思議な力を求め、男女が結託、だまし合いを繰り広げるミステリーだ。高柳は当初、その脚本の難解さに頭を抱えたという。

「何度も見ないと分からない。脚本を見た時点で、『何だって?』と、ハテナしか浮かばなかったです(笑い)。本を読んで『うう…』ってなりましたからね。難しいから、SKEでも年下の子たちは理解できるかな? 最初は私でも分からなかったら、小さいメンバーには厳しいかも…。でも、名古屋でも上映するし、ぜひ見てもらいたいですね」

宣伝文句ではなく、本当に数回、見た方がいい難しさのようだ。

「2回で分かったら、拍手ものです。いろんなとらえ方、正解があっていいと思うんです。いろんな方が評論とかを書いてくれたら、めっちゃ見たいですね。それで気付く新たな発見があるかもしれないですね」

舞台版にも出演したが、役柄は映画版で演じた「チョーカーの女」とは正反対に近いという。

「舞台では、皆本麻帆ちゃんが演じるヒロインの親友役でした。冷静で気性も荒くなく、キレることはない役ですね。映画版は、第一印象としてはちょっと気が強くて、誰にも心を開かないような女の子ですね」

映画が昨年末にクランクインし、舞台上演は今年1月。稽古はほぼ同時期に行っていた。役柄も違うため、別作品のようだったという。

「まったく違って、別ものでした。映画の撮影の時は、みんなとの仲もまだそこまで深まっていなかったし、物語でも全員が敵みたいな設定だったので、ちょうど良かったです。逆に舞台は、みんなが少しずつ仲を深めていくという部分もあって、稽古から笑いも絶えず、楽しい現場になりました。舞台が先だったら、雰囲気はまったく違うかもしれませんね」

映画出演は、15年公開の初主演作「浄霊探偵」以来だった。前回の経験には最適の現場だったはずだが…。

「それが、あまり生かせなかったんです(苦笑い)。というのも、今回は撮影の仕方が独特だったんですよ。監督が『このシーンはここから抜きたいから』とか、明確な意図がある場面が多かったんです。その場でせりふ合わせをしたり、舞台みたいに稽古があったり…。でも、現場の皆さんはみんな『いいものを作ろう』という一心だったので、心地よい大変さで撮影を終えることができました」

女性アイドルばかりのグループにいて、おもちゃ箱をひっくり返したようなバラエティーあふれる共演者たちの存在は、いい刺激になった。

「割と年が近い方が多かったですけど、年上の方が多かったので、すごくやりやすかったです。学ぶことばかりでした。みんなでたまにご飯に行くと、誰かが演劇論を話してくれたり、いろんな仕事をやってきた上での話を聞かせてくれました。菊地美香ちゃんは戦隊ドラマ(『特捜戦隊デカレンジャー』)に出ていて、麻帆ちゃんはミュージカルに出ていましたし。辻本(耕志)さんみたいに、コントを中心に舞台をやっている方もいれば、川本成さん(あさりど)は元いいとも青年隊です。そして私はアイドル(笑い)」

10月には完成披露舞台あいさつに登壇した。作品にかけて、「振り返りたい過去は?」と問われると、「アイドルの姿を徹底して、総選挙で1位になれればいいなと思います」と答えた。実はイベント後にもう1つ、思いついたという。

「10年前から、もっとかわいくしておけば良かったです。10周年を迎えるからか、最近『10年前の写真を貸して下さい』と言われることがあったんです。でも、当時の写真は天然パーマだったり、メークもしてなかったりで…。まあ、当時から『かわいい』とは言われてましたけどね(ドヤ顔)。私は当時はあまりおしゃれに敏感じゃなかったけど、今の子たちはアイドルとかの影響を受けているからか、写真もめっちゃかわいい。私も、今の時代に通用する、かわいい写真を残したかったです!」

SKE48は10月に10周年を迎えた。高柳ら2期生がSKE48の一員になったのは、グループ結成翌年の09年3月29日。高柳らにとっての10周年の節目は、劇場デビューの日ではなく、合格した日だという。

「(内山)命と(斉藤)真木子と、『2期生公演をやりたいね』とは言っていて、早めにスタッフさんにお願いしようと思っています。ただ、個人としては、10年に納得がいってないです。『高柳明音』としてやりきれていない部分があるんです。自分じゃないとできないことを増やしたいし、私だからやってほしいという仕事をしたいですね」

◆「ONLY SILVER FISH-Water tank of MARY’S room」 過去を1度だけ振り返る力を持つ魚「オンリーシルバーフィッシュ」を目的に、男女たちがとある洋館に集まった。その力は、魚の本当の名前を呼ぶことで解放されるが、名前を知ることはできるのは、最後に残った1人だけ。それぞれが持つ招待状のルールにのっとって行われるゲームの勝者を決めるミステリー。今年1月には舞台版も上演された。西田大輔監督。