米映画「トランスフォーマー 最後の騎士王」のヒロイン、ローラ・ハドック(31)が、4日の公開を前に来日した。「世界で最も美しい顔」(米映画サイト選出)のベスト30にもランクインした彼女にインタビュー。出産間もない体で激しいアクションに挑んだ撮影秘話などを聞いた。


 -人気シリーズ5作目の「トランスー」の撮影現場はいかがでしたか。

 「いくつもの巨大セットの間を何百人ものスタッフが駆け回るすさまじい現場でした。圧倒されました。その中心に、いくつもチームの間を行き来しながら両手を振り回して指揮するマイケル・ベイ監督がいる。何もかもかダイナミックでした。9カ月の撮影でそれが日常になり、当たり前になっていく。本当に不思議な体験でした」

 -日本の玩具をルーツに世界的な人気シリーズとなった「トランス-」を知ったのはいつですか。

 「兄のおもちゃやコミックが家にあって、子どもの頃からなじみがあります。家族で一緒に見た第1作(07年)ですっかりとりこになりましたね。自分がその世界に入るということは、私にとってはかなりシュールな体験だったんですよ」

 -「ハンガー・ゲーム」で知られるご主人のサム・フランクリンさん(31)との間に初めてのお子さんが生まれたのが一昨年12月で、撮影まであまり間がなかったように思うのですが。

 「オファーを受けたときは、これは人生最大のチャンスだと、すっかり興奮しました。これを逃すようなバカなことはできない、と。でも、我にかえってみると、さて子どもはどうしようということになりました。そこで、エージェントを通してベイ監督に『子ども同伴』のお願いをしたんです。最後は、これが私の出演条件です、とね。それで何とかOKをもらったんです。おかげで愛する作品の撮影を最愛の子どものそばでできるという最高に幸せな時間が味わえたわけです(笑い)」

 -男の子ですか?

 「そうなんですよ! もちろんまだ何も分からないんですけど、物心がついた頃にもう1度この映画を一緒に見て、あなたはあの現場にいたのよ、スタッフもみんなあなたのことを知っているのよ、と言える日を楽しみにしています」

 -アクション・シーン満載の撮影は出産間もない時期にはハードだったんじゃないですか。

 「肉体的には本当に不安でしたね。女性にとって妊娠、出産は体にものすごく大きな変化をもたらしますから。撮影直前までパーソナル・トレーナーに付いてもらって筋力トレーニングを重ねました。ボクシング、ピラティス、バレエ…。ポロのシーンもあったので、週に3、4回は乗馬のレッスンも続けました。ベイ監督は特殊効果の使い方ももちろんすごいのですが、可能な限り俳優を動かし、可能な限り本人にスタントをさせる人ですから。それに応えるだけの体力、気力、スタミナ-産後の身には大きな課題でした」

 -女優を目指したきっかけは何ですか。

 「演劇学校に通い出したのは17歳の時ですが、それまでも地元(英国インフィールド)の劇団に所属していました。子どもの頃から演じることが大好きでいつの間にか女優を目指していたという感じです。しいて言えば物心が付いて最初に見たヘイリー・ミルズ主演の映画「ポリアンナ」がきっかけですかね(笑い)。厳しい環境にも明るく生きる少女の姿を見て『あれがやりたい!』と思ったことを覚えています」

 -ドラマ初出演は22歳のときでしたね。

 「3年間演劇学校に通いましたけど、そこで学んだのは舞台の演技でした。テレビカメラに向かってやったら、それは全部大げさで不自然なものになってしまったんですね。ディレクターにはあきれられるし、途方に暮れました。思いあまって演劇学校の先生に電話すると『今まで教えたことを全部その通りにやりなさい。ただし10分の1くらいに。できるだけ小さく芝居をしてごらん』と。あの言葉に救われましたね」

 -何事にも全力投球だからでしょうか、「アドレナリン・ジャンキー」を自称されていますね。

 「アハハハ。これだけのアクション・シーンに挑むのは今回が初めてだったものですから。がんがんやらされるうちに激しい動きで得られる快感を知ってしまったんですね(笑い)。スリリングな感覚をもっともっと、と求めるようになってしまうんですね。アクション・シーンをやる人には分かってもらえると思うんですけど。今まで自分でも気付かなかった新たな一面を知ったように思います」

 -「世界でもっとも美しい顔」にランクインされた方には聞きにくいんですが、長所はどこですか、短所はありますか。

 「その『世界でー』ってどこで発表しているんですか? ホントに知りませんでした。そのサイトのことは後で教えてもらうとして、正直にお答えしましょう(笑い)。若い頃は無い物ねだりで、もっとキレイな鼻とか唇とか、いろんなことを思いましたが、このくらいの年になると見た目はあまり気にならなくなるというか、今ある状態で自分なりに満足できるようになるものです。性格面で言うと、自分で言うのは恥ずかしいですが、スジは通すし、思いやりのある方だと思っています。短所としては、優柔不断なところがあって、いつも夫をイライラさせています。買い物でも2つまで絞るのは割と早いんですけど、それからがたいへんで、行きつ戻りつを繰り返してしまう。要は二者択一に弱いんですね」


 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(14年)を見た人なら、主人公の母親を演じたハドックの透き通るような美しさが印象に残っているはずだ。今回はそこに、オックスフォード大教授という設定の知性、時空を越えた合体ロボの戦いに巻き込まれるスケールの大きいアクションが加わった。劇中の活躍を見れば「世界でもっとも美しく、たくましいママさん」と言ってもいいだろう。

 日本の典型的な美女というとうりざね顔をイメージするが、欧米系ではミランダ・カー(34)に代表されるちょっと横に張った顔が最近目につく。ミス・イスラエルから「ワンダー・ウーマン」(25日公開)のヒロインに抜てきされたガル・ガドット(32)や、ハドックのような「ミランダ系美女」が今の主流なのかも知れない。

 そして、なぜかミランダ系美女はそろってエネルギッシュでガッツがあるように見える。【相原斎】