アカデミー賞まで1週間を切り、ハリウッドも急ピッチでその準備に追われています。アカデミー賞授賞式は、ディナーを食べながらゆったりと賞を楽しむゴールデン・グローブ賞などとは違い、会場での飲み食いは厳禁。そのため、授賞式が終わった後にノミネートされた人々が一堂に会するガバナーズ・ボウルと呼ばれるアカデミー賞公認のアフターパーティーが行われ、豪華な料理や飲み物が用意されます。受賞者たちは最初にこのパーティーで、空腹を満たしてからハリウッド各地で行われるさまざまなアフターパーティーに繰り出すことになります。

 受賞者をはじめとする1500人ものハリウッドスターやVIPが出席するといわれるこのパーティーは、授賞式会場のドルビー・シアターに隣接する建物で行われますが、毎年その豪華な内容は大きな話題になります。パーティーの食事を担当するのは、アカデミー賞公認シェフの異名を持つセレブシェフ、ウルフギャング・パック氏。今年で22年連続となる料理の総指揮をとったパック氏が作り出す料理は、前菜、メーン、デザートまで実に50種類以上。できる限り地元産の新鮮な食材を揃え、このパーティーのためになんと、えび7500匹、ロブスター400匹、カキ1300個、キャビア10キロ、卵5000個が用意されるのだといいます。オスカー像の形にくりぬいたスモークサーモンや、24カラットの金箔を施したオスカー像形のチョコレートなど、見た目もとても豪華な料理の数々が会場を盛り上げます。

 料理に合わせて用意されるワインやシャンパンも注目の的です。今年のワインは、カリフォルニア州ナパの「スターリング」。日本ではあまり知られていないワイナリーですが、1964年に設立された老舗の一つで、アカデミー賞のためにだけ造られた特別ワインも用意されています。シャンパンは、カンヌ国際映画祭の公式シャンパーニュを20年も務める1785年創業の名門「パイパー・エドシック」。マリリン・モンローが目覚めの一杯として愛飲していたという伝説を持つことでも知られたシャンパンで、ガバナーズ・ボウルでは超レアのヴィンテージを含む3種類が提供されます。もちろん一流バーテンダーによる特別なカクテルもあり、オスカーを手にした人も涙した人も、この夜だけはお互いの健闘をたたえあいながら豪華絢爛(けんらん)な料理に舌鼓を打ち、美酒に酔いしれることでしょう。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)