アカデミー賞の前哨戦として知られる第76回ゴールデン・グローブ賞授賞式が6日にビバリーヒルズで行われ、外国語映画賞は受賞が期待されていた是枝裕和監督の「万引き家族」は惜しくも受賞を逃しました。受賞したのは「ゼロ・グラビティ」(13年)などで知られるアルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA/ローマ」で、キュアロン監督は監督賞にも輝くW受賞となりました。ハリウッド外国人映画記者協会の会員の投票によって決まる同賞において、市川崑監督の「鍵」以来59年ぶりとなる受賞を果たすことはできませんでした。ちなみに「ROMA/ローマ」はNETFLIXオリジナル作品として昨年末から配信されていることから、今回の受賞を受けて22日にノミネートが発表されるアカデミー賞を前に動画配信サービスが手掛ける同作がアカデミー賞の選考対象として妥当かどうか再び論議を呼ぶことになりそうです。

今年のゴールデン・グローブ賞では、アニメーション作品賞にノミネートされていた細田守監督の「未来のミライ」も受賞を逃して日本勢は無冠に終わりましたが、最大の話題は何といってもドラマ部門作品賞、レディー・ガガの主演女優賞、ブラッドリー・クーパーの主演俳優と監督賞のWノミネート、そして主題歌賞の5部門に名を連ねていた有力候補「アリー/スター誕生」が1冠に終わったことでしょう。これまで今年の賞レースの目玉として話題をさらっていた同作でしたが、蓋をあけてみると受賞したのは楽曲「シャロウ~『アリー/スター誕生』愛の歌」の主題歌賞のみにとどまる結果となりました。特にスターへの道を駆け上がる歌手を熱演したガガの受賞は確実視されていただけに、大きなサプライズとして受け止められており、ネット上では受賞を逃したことを悲しむファンのコメントが相次いでいます。主演女優賞を受賞したのは、「天才作家の妻-40年目の真実-」のグレン・クローズで、名前が呼ばれた時に驚いたような表情をしたのが印象的で、本人が一番受賞に驚いたのかもしれません。

また、クーパーの受賞が期待された主演男優部門で選ばれたのは、日本でも大ヒットした英ロックバンド、クイーンの軌跡を描いた「ボヘミアン・ラプソディ」でボーカルの故フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレック。同作は作品賞にも輝き、音楽対決は「ボヘミアン・ラプソディ」に軍配があがりました。マレックは「感動を超えている。胸から心臓が飛び出しそうです。生涯の喜びを与えてくれてありがとう。これはあなたに捧げる賞です」とマーキュリーに感謝し、サプライズ受賞を喜びました。マレックはこの受賞によってアカデミー賞ノミネートも現実味を帯びており、今年のオスカーレースではこの2作品の音楽対決が再び大きな話題となりそうです。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)