今年も来年のアカデミー賞を狙う作品が劇場をにぎわせる季節がやってきました。昨年は「ドライブ・マイ・カー」が日本映画史上初めて作品賞にノミネートされるなど4部門で候補となり、日本でも大きな話題になりましたが、ちまたでは早くも来年のアカデミー賞の候補予想が始まっています。
今夏大ヒットしたトム・クルーズ主演の「トップガン マーヴェリック」は作品賞や主演男優賞で候補入りが確実視されていますが、ほかにもスティーブン・スピルバーグ監督の新作や、ブラッド・ピットやマーゴット・ロビーら豪華キャストでハリウッドの黄金期を描く「バビロン」などがフロントランナーとして注目されています。
ちょっと気が早いですが、現時点で来年1月に発表されるアカデミー賞候補入りが最有力視されている作品を紹介します。
◆「ザ・フェイブルマンズ」(11月11日全米公開)
今年9月に開催されたトロント国際映画祭で、最高賞に当たる観客賞を受賞した巨匠スピルバーグ監督の自伝的作品。スピルバーグ監督自身の子供時代に着想を得た作品は、映画愛に満ちたオスカーにふさわしい物語で、作品賞と監督賞はもちろん母親役のミシェル・ウィリアムズの主演女優賞を含め、今年の賞レースの本命との呼び声が高まっています。
◆「バビロン」(12月25日全米公開)
アカデミー賞6部門を受賞した「ラ・ラ・ランド」(17年)で監督賞に輝いたデイミアン・チャゼル監督の新作は、ピットとロビーを主演に迎えて、サイレント映画からトーキーへと移り変わろうとする1920年代のハリウッドを舞台に映画業界で夢をかなえようとする男女を描いた物語。チャゼル監督の監督賞候補入りも期待されています。
◆「イニシェリン島の精霊」(全米公開中)
アカデミー賞作品賞にノミネートされた「スリー・ビルボ-ド」(17年)でメガホンを取ったマーティン・マクドナー監督による新作で、9月に行われたベネチア国際映画祭では最優秀脚本賞を受賞しているほか、コリン・ファレルも主演男優賞に輝いた話題作。20年代のアイルランドの孤島「イニシェリン島」を舞台に、本土が内戦に揺れる中で平和な小さな島での物語が描かれています。
◆「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワン」
「SAYURI」(05年)や「クレイジー・リッチ!」(18年)などで知られる中国系マレーシア人のミシェル・ヨーが、主人公のアジア系の移民女性を演じるカンフーとマルチバース(多元宇宙)を組み合わせた異色のSFコメディー。3月に全米公開されるやいなや、評論家や映画ファンから大絶賛され、商業的にも大成功を収めています。ヨーは主演女優賞の候補にも名が挙がっています。
◆「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」(11月18日全米公開)
17年にハリウッドを席巻した、セクハラや性的暴行など性犯罪被害の体験を告白する#MeToo運動を動かしたニューヨーク・タイムズ紙の2人の女性記者の実話に基づく物語。ハリウッドの大物プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタイン受刑者の何十年にもわたる性的暴行をスクープして世界に衝撃を与えた報道の裏側が描かれており、ブラッド・ピットが率いる制作会社プランBが製作総指揮を務めていることでも話題。
【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)




