いつもたそがれているような草食男子の葉山亮太(中島裕翔)と、明るくて思ったことを何でも言う上村小春(新木優子)、2人の高校時代からの7年間を描いた。

 タイトルにあるよう、2人の周りには、いつも何かしら食べることがあり、食べることを通して、つながりが強くなっていった。ポカリスエットにケンタッキーフライドチキン、ファミレスのハンバーグ…。2人が急速に親しくなったきっかけも、体育祭の米袋ジャンプ競技というのも面白い。食べ物を前にして少し本音を出せれば、人と人はちょっと近づける、そんなことを思った。

 きれいで甘いイメージの中島と、モデルとしても活躍中の新木。この2人を起用するならもっと甘い物語にもできたはず。壁ドンにあごクイに頭ポンポンで、観客を胸キュン、もん絶させることもできただろう。しかし、2人はかなり不器用に、ゆっくりゆっくり歩んでいった。誠実な姿が胸に響いた。中島が草食男子がなかなか似合う、というのも思わぬ発見だった。

 原作は瀬尾まいこ氏の同名小説。【小林千穂】

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