問題作である。もし親友が「少年A」だとしたら、どうするか。人はなぜ人を殺してはいけないのか。贖罪(しょくざい)とは何か。そんな重いテーマを次々と投げつけてくる。

 原作は薬丸岳の同名小説。97年に神戸市で起きた連続児童殺傷事件の「少年A」を思い起こさせる青年(鈴木)を瑛太が熱演し、鈴木との友情関係に葛藤する元週刊誌記者(益田)を生田斗真が好演する。

 物語は、郊外の町工場で同じ日に見習工として雇われた2人が出会うところから始まる。寮で暮らすうちに心が通い合うようになるが、ある事件をきっかけに鈴木が17年前の連続児童殺害事件の「少年A」ではないかという疑念が益田の心に浮かび上がる-。

 泣いているような瑛太の「笑み」にすごみを感じた。瑛太は過去の罪の意識を背負いながら、もがく青年を見事なバランスで表現。主役2人以外のストーリーをやや詰め込みすぎた印象はあるものの、すべてはつながっている。

 神戸連続児童殺傷事件は現場で取材した。あのころよりも事件が「消化」されるスピードが格段に速くなった。ただ大事なことがあるはず。問題意識を持ち続けること。そう思った。【松浦隆司】

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