山道、海岸線、あぜ道…。道という道を走り速さを競うカーレース「ラリー」を題材に、確執を抱える兄弟と彼らを取り巻く熱い男たちの1シーズンを切り取った物語。ラリーの魅力を閉じ込めた迫力あるレースシーンと目頭がグッと熱くなるラストに、明日の活力をもらえそうな映画だ。

 序盤はラリーの迫力にただただ圧倒される。ダイナミックな自然の中を、ごう音で駆け抜ける車。レースが行われそうな場所を探したというこだわりのロケ地を、ドローンによる空撮と接写のミックス、さらにはCGも駆使してテンポよく見せ、引き込んでいく。

 ドライバーに注目しがちなモータースポーツだが、メカニック(整備士)なくして彼らは活躍できない。東出昌大演じる主人公の篤洋は、チーフメカニック兼エンジニアという立場でチームの一翼を担う兄。新田真剣佑が演じるのは弟の直純で、群を抜いたルックスで女性ファンを離さない若きカリスマドライバーだ。2人はある確執を抱え衝突してばかりだが、同じチームでともに頂点を目指す。

 男たちの青春をテーマにさわやかに描ききった。「大人のスポ根青春映画」と呼ばせていただきたい。【杉山理紗】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)