「ハリー・ポッター」の70年前を描く新シリーズも3作目で、史上最悪の魔法使いグリンデルバルドとの戦いが佳境を迎える。

後にハリーたちの教科書となる「魔法生物飼育学」を著すニュート(エディ・レッドメイン)が保護しようとするのは麒麟(きりん)。真のリーダーを選ぶ能力があるというこの伝説の生きものを巡る、グリンデルバルド一味との戦いが今作の本筋となっている。

物語が進むに従ってニュートが慕う偉大な魔法使いダンブルドア(ジュード・ロウ)の家族にまつわる秘密や宿敵との因縁が明かされ、「ハリー」から続くシリーズはますます奥行きを深める印象だ。グリンデルバルド役はジョニー・デップからマッツ・ミケルセンに代わったが、個性がちょっと薄味になった分、悪玉ぶりが際立ち、悲哀のようなものも漂わせている。

「ハリー」後半4作品とこのシリーズすべてでメガホンを取るデイビット・イェーツ監督は今回もホグワーツ城やホグズミード村などの「名所」をしっかり映す安定の演出だ。

マグル(非魔法使い)のジェイコブ(ダン・フォグラー)の活躍ぶりは「もう1人の主役」の印象だ。【相原斉】

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