19年4月に公開され、同年の邦画実写で最高の興行収入57億3000万円を記録した「キングダム」の続編だ。紀元前の中国・春秋戦国時代の秦国を舞台に、大将軍を目指す戦争孤児の信が、始皇帝となる政と運命の出会いを果たし戦場に繰り出す、歴史大河漫画の実写化作品。原作の原泰久氏が前作同様、脚本を担当し、映画オリジナルの場面やセリフも加えられた。

大規模な騎馬戦から一騎打ちまで、大太刀での斬り合いなど漫画でしか描けない人間離れした戦いが原作の魅力。秦が魏の侵攻を受けた蛇甘(だかん)平原の戦いを描く今作はスケールアップし、浮世離れと言っても過言ではない原作の迫力が伝わってくる。

何より主演の山﨑賢人の顔が、ますます原作の信そのものになってきた。両手を振って力強く走る姿、激しいアクション…一挙手一投足に信としての真実味が増した。また大沢たかおが、原作を完全再現した肉体作りで世間を驚かせた王騎将軍の存在感も健在だ。

加えて、定評のある身体能力の高さを存分に発揮した羌■(きょうかい)役の清野菜名、大将軍・●公(ひょうこう)の野獣のような存在感を体現した豊川悦司ら、今作から出演した俳優陣の主役級の存在感が作品を一歩、先に進めた。中でも縛虎申(ばくこしん)を演じた渋川清彦の、魂の芝居を忘れてはいけない。【村上幸将】

※■はやまいだれに鬼、●は鹿にれっか

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