中国4000年の歴史には桁違いに残酷な故事も伝わる。春秋戦国時代、秦が隣国・趙の投降兵40万人を生き埋めにした「長平の戦い」は最たるものだろう。

シリーズ3作目の今回は、その16年後を舞台に趙の積年の恨みが根底にある。原作者・原泰久氏が脚本に参加していることもあって、コミックス6冊分の勘所を押さえたスピーディーな展開で、テンポ良く見せ場が挟まれる。

大兵力を蓄えた趙の反撃を迎え撃つ秦の総大将は大物感マックスの王騎(大沢たかお)だ。俯瞰(ふかん)した陣形の動きから、将兵の表情が見えるアップまで、最新の特殊効果で滑らかに見せてくれる。中学生の時に見た伊ソ合作「ワーテルロー」(70年、ロッド・スタイガー主演)の会戦場面の衝撃を思い出す。あの作品の圧倒的な人海スケールも今回のボリューム感にはかなわない気がする。

主人公2人のエピソードもふんだんだ。その後の生き方を決める秦王(吉沢亮)の悲しい回想シーンにジンとし、王騎の信任を得て百人将に出世した信(山崎賢人)の武功は壮快だ。佐藤信介監督は、原作の奥行きから逃げることなく真っ向から向き合っている。【相原斎】(このコラムの更新は毎週日曜日です)