上映する端から、スクリーンが焦げ付いていってしまいそうな熱気がほとばしりながら、それでいて、これでもかというほど、さわやかな1本だ。

ビデオが普及し始めた80年代に、逆行するように名古屋に自身の映画を上映するミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げた若松孝二監督と、支配人に抜てきされた木全純治氏は、興行成績が上がらず苦悩する。それでも映画へ愛と思いを込め突き進む、2人の姿は実に熱い。

さわやかさを感じるのは、同劇場に集った映画好きの若者たちが瞬間、瞬間を青臭いくらい真っすぐに生きているからだ。若松監督に直談判し弟子になった井上淳一は、脚本を手がけた監督の若き日の姿だ。井上演じる杉田雷麟(21)と、芋生悠(26)演じる監督志望の女子大生・金本法子がバチバチにぶつかり合うシーンは作品の肝だ。金本は架空の人物で、登場させることによって女性監督がまだ少なかったこと、在日朝鮮人として今はなき指紋押なつ制度について考えるシーンまで織り込み、80年代という時代がどうだったのかを力強く描く。

18年の前作「止められるか、俺たちを」から引き続き、若松監督を演じた井浦新(49)はじめ、俳優陣の血の通った芝居に胸を揺さぶられる。80年代に興味、関心を持つ若者は、いまだに多いと聞く。体感したいなら…「止め俺2」を見に行かない手はない。【村上幸将】

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