大阪府柏原市の冨宅(ふけ)正浩市長(46)が芸人兼個人事業主の旧友・山本哲史さん(46)とともに「市長・市民」というコンビ名で漫才日本一を決める「M-1グランプリ」に挑戦しました。1回戦は見事に突破しましたが、今月10日の2回戦では敗退。現役市長のチャレンジに全国各地の首長から「来年はコンビでいっしょに出てほしい」とラブコールが相次いだそうです。批判も覚悟の上で挑戦した背景に何があったのでしょうか? 冨宅市長に聞きました。

2回戦でも柏原市の知名度の低さを逆手に取った「自虐ネタ」で観客を沸かせた「市長・市民」。約3分の緊張の舞台を終えた市長は「たたき具合が格段に上がっていた(笑い)。たたく回数が増えた」。相方の“たたきツッコミ”を笑顔で振り返りながら「1回戦も2回戦もとにかく柏原のPRを思い切りさせてもらった」と満足そうに話しました。

柏原市出身の冨宅市長は八尾市職員、柏原市議を経て、17年2月の市長選で初当選。現在、2期目です。

ツイッターなどSNS全盛になり、政治家の情報発信力も問われる時代になりました。

「発信力は大事だと思います。市民のみなさんへ向けた情報発信は、広報紙であったり、回覧板であったりしますが、いまはSNSの力というのが大きくなってきている」

大阪府吉村洋文知事のツイッターのフォロワーは約127万。全国の首長が吉村知事のように強力な「武器」を持つわけではありません。

「ふるさと納税も含めて、地方自治体の困り事が多い中、人口減少もあり、まずは知名度を上げていこうという思いが、それぞれの首長にある」

そこで思いついたのがM-1。昨夏に挑戦する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大があり、断念しました。今回、出場するために、固く誓ったのは公務優先でした。もし出場する日に公務が入れば、出場を取りやめるつもりで、あくまでもプライベートの時間を使うことを前提にした出場でした。

2回戦のネタ合わせも1回戦と同様に、台本は事前にメールで受け取り、出番直前に会場近くの公園でしました。

冨宅市長のツイッターのフォロワーは“M-1効果”で約4000に急増しました。「インスタも、えらいことなってきたで」と市長が話すと、山本さんが「もともとツイッターのフォロワーは2とかでしたもんね」とツッコミを入れると、市長はすかさず「なんでやねん!」。絶妙です。

まだまだ強力な発信力とは言えませんが、「SNSを通じて市民のみなさんからすごい数のメッセージが届く。反応を見ながら政策も決めていくことができるのが発信力のある人の強みかなと思います」。

フォロワーが「2」だった市長は言います。「政治家との距離感をはかりかねているのではないかと。僕は日本一、身近な市長を目指している」と宣言すると、山本さんは「日本で一番、時期が短い市長?」とツッコミを入れると、市長は「もう6年やっている」と返します。

もちろん、出場には批判もありましたが、柏原(かしわら)市の「市長」はこう言います。

「Mー1に出ることによって柏原市のPRが少しでも、前に進めたかな。勇気を出してよかった」

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

「市民・市長」のコンビの大阪府柏原市の冨宅(ふけ)正浩市長(左)、芸人兼個人事業主の旧友・山本哲史さん(撮影・松浦隆司)
「市民・市長」のコンビの大阪府柏原市の冨宅(ふけ)正浩市長(左)、芸人兼個人事業主の旧友・山本哲史さん(撮影・松浦隆司)