フリーキャスター辛坊治郎氏(66)が昨年末、大阪市内でABCラジオの特番「辛坊治郎の万博ラジオ」(1月1日午後4時)の収録を行いました。収録後、取材する機会がありました。過去に予言したことが時間の経過とともに現実になることが多い辛坊氏は「世の中、何か壊れ始めている」と警鐘を鳴らします。23年の日本はどうなるのか? 聞いてみました。

1970年に行われた大阪万博の熱狂を知る辛坊氏ですが、25年大阪・関西万博で気になることがあるといいます。物価高騰や円安などの影響で、著名人がプロデューサーを務めるテーマ館の建設工事で入札の不成立が相次いでいます。

「不成立」は1つの事象ですが、その背景には大きな問題が隠れているといいます。「まさに、それ(物価高)を象徴している。(23年に)この状況が改善するとは思えない」。

帝国データバンクの調査では、23年もすでに7000品目超の値上げが予定されています。空前の値上げラッシュが続くとみられています。

「いまシャレにならないのは、日本の通貨が壊れつつあるということ。物価が上がっているのはそういうことです」と指摘し、「日銀の黒田さんは『(23年は)物価が下がる』と。ちょっと私には、信じられないところがある。このまま物価の上昇が続くと、万博の建設費はもっと大変なことになる可能性がある」と懸念します。

これまでの辛坊氏の経験では「物価って1度、火が付くと、そう簡単には止まらない」。23年も企業の値上げの「マグマ」が発散しきれないままの状態が続き、断続的に値上げ続くとする帝国データバンクの分析もあります。

「通貨をはじめ、モノの値段はだいぶ、壊れている」とみる辛坊氏は23年を「勝負の年」と位置付けます。「黒田さんが言うように物価はソフトランディングし、金利が上昇せずにすむのだったら、(万博の)25年は無事に迎えられると思う」とする一方で、23年が「物価の上昇傾向が続き、金利が上がるということになれば、日本はクラッシュします。そのリスクはゼロではないという気がしている」と現状の危うさを指摘しました。

日本の未来を左右する「勝負の年」が始まりました。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)