花組公演「忠臣蔵ファンタジー『元禄バロックロック』」「The Fascination！　－花組誕生100周年　そして未来へ－」で、トップ柚香光が、2人目相手娘役に迎えた星風まどかとの新コンビで本拠地お披露目に臨んでいる。芝居の作・演出の谷貴矢氏、ショーの中村一徳氏が、新コンビの魅力を語った。宝塚大劇場は13日まで。東京宝塚劇場は来年1月2日～2月6日。

武器のダンスでもデュエットを披露した花組トップ柚香光（右）と、新たに相手娘役に迎えられた星風まどか（撮影・村上久美子）

芝居は、忠臣蔵を軸にしたファンタジー作。国際都市のエドを舞台に、元赤穂藩藩士のまじめな時計職人クロノスケが、時を戻す時計を得て、悲劇的な運命に立ち向かおうとする。

谷氏は、昨年来のコロナ禍から「ハッピーエンド」にすべく、今作芝居を考えたといい「花組100周年で、花を題材にしたミュージカル」から、元禄時代の「百花繚乱（りょうらん）」が浮かび、時節柄「忠臣蔵」の題材を決めた。

忠臣蔵をもとにしたファンタジー作に臨んだ花組トップ柚香光（左）と、2人目相手娘役に迎えられた星風まどか（撮影・村上久美子）

だが、誰もが知るかたき討ちの話をハッピーエンドに？　時間の巻き戻しを軸に本を書き進め、悲劇をハッピーエンドに“ねじ曲げる力”を柚香、星風の新コンビに委ねたという。

熱量は期待以上で「本人の中から出てくる明るさ…と言うと、単純なんですけど、組子もお客様も、夢を見たくなっちゃうような力はすごい」と感心する。

柚香自身も、ファンタジー要素が強いゆえ「自由に役を作りたい」と言い、稽古を重ねてきた。

花組トップ柚香光（右）は2人目の相手娘役に迎えた星風まどかとの新コンビで花組100周年ショーに臨んだ（撮影・村上久美子）

ショーは、花組100周年記念作。「すみれの花咲く頃」のアレンジで進む中詰めから、「Exciter！！」「ラ・ラ・フローラ」など花組名曲メドレーもある。ダンスの名手として鳴らした元花組トップ大浦みずきさんがトップ時代の「フォーエバー！タカラヅカ」をオマージュ。「ピアノ・ファンタジィ」を柚香、星風が華麗に踊る場面もある。

柚香は、開幕前の取材で「心臓が口から出そうなぐらい。この場面を汚してはいけない。心して挑みたい。格、質を、落としてはならない」と、稽古から緊張感を持って備えてきた。

花組は前作本拠地作で、トップ娘役だった華優希、瀬戸かずやらが退団。トップ柚香を同期の水美舞斗と、永久輝せあらが支え、聖乃あすかも進境著しい。相手娘役に星風を迎えた新体制で、下級生時代から圧倒的なダンス力を誇ってきた柚香の個性も、より際だってきた。【村上久美子】

新生花組を率いるトップ柚香光（左から2人目）と、（左から）永久輝せあ、水美舞斗、聖乃あすか（撮影・村上久美子）

◆忠臣蔵ファンタジー「元禄バロックロック」（作・演出＝谷貴矢）　国際都市のエドでは、バロック文化が隆盛を誇り、元赤穂藩藩士のまじめな時計職人クロノスケは、貧しいながらも穏やかに暮らしていた。だが、時を戻せる時計を発明したことで、人生が一変。ばくちで大もうけし、元赤穂藩家老クラノスケから、主君タクミノカミのかたき討ちへの協力依頼も乗り気になれない。だが、コウズケノスケの隠し子キラの存在を知り、動く。

新生花組で100周年ショーを披露した（左から）水美舞斗、柚香光、星風まどか、永久輝せあ（撮影・村上久美子）

◆レビュー・アニバーサリー「The Fascination！　－花組誕生100周年　そして未来へ－」（作・演出＝中村一徳）　1921年、初の花組公演から100年。花をテーマにしたダンスステージで、柚香が2人目相手娘役に迎えた星風まどかと、新コンビ本拠地お披露目。