4日に千秋楽を迎えた「さまぁ~ずライブ11」(天王洲銀河劇場、6公演)のエンディングトークで三村マサカズさん(50)が叫んだ言葉です。運良く初日を見ることができたのですが、初日とあって、「12回ミスをした」と自己申告し、やいやい言う大竹一樹さん(49)と軽くもめていました。50歳になっても全然大物感が漂わない圧倒的なさまぁ~ずワールド。げらげら笑わされました。

 今回は、新作コント5本と、幕間のVTRコント4本という構成でした。スポーツジムのマスコットキャラクター、カンガルーの設定をめぐり、あれこれ面倒くさい発注者(大竹)と、振り回される営業マン(三村)。「色は茶色がいいと思います」「か、黄色ね」。この調子で何ひとつ採用されないサラリーマン三村の災難がどんどんエスカレートして、シュールな悲喜劇にこちらも巻き込まれます。

 個人的にツボだったのは、個室ホラーアトラクションを審査しに来たコンプライアンス委員会の男を描く「ホラーハウス」。とにかく怖がりで「惨殺病棟」の設定は「寿命で死んだ」に変更、暗闇は電気をつけろ、お化けが出てくる時は「出ます」と一声掛けろ…。何ひとつ怖い要素がなくなっていくアトラクションのホラーな末路…。

 素手でクマを倒すとうわさの武道家を訪ねたらしょーもない流儀が次々と出てくるネタは、シュールな大竹ワールドが全開でした。背丈くらいあるクマのぬいぐるみを蹴り上げるとまさかの飛びと着地をし、台本にないミラクルに客席が笑い転げたり。映像ネタも、青汁のCMで「おいしー」の時に半目になる腹話術人形とか、箸(はし)が震えすぎて海鮮丼のエビを吹っ飛ばすADとか。ステージでもスクリーンでもがんがん笑わせるコント職人の流儀が痛快でした。

 ラストのネタは人魚のファンタジーでしたが、人魚はおじさん。遭遇して驚くサラリーマンがカンガルーのグッズを見せてくるので、冒頭のネタのサラリーマンだと分かるんですよね。

 笑っちゃうけれど、こんなところでまた会えた、という感動でほろりともきました。脈絡なく見えるそれぞれのコントに小さな接点があり、短編連作集のような味わいがあるさまぁ~ずの世界観。別のコントで出てくるジュゴンの絵が重要な小道具になっていて、世界はつながっている、というSFみたいな優しさがすてきなのです。うるうるしていたら、ワイヤでつられた大竹のおじさん人魚がフライング、しないでゆるっと横移動。ばかばかしさ上等のさまぁ~ず印で劇場をどっと沸かせて完封していました。

 ビッグネームになっても、今のさまぁ~ずはこんな感じですと、いつまでもネタで発表し続ける2人。50歳になっても底抜けなお笑い小僧っぷりがかっこよく、いよいよおもしろいです。

【梅田恵子】(B面★梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)