ロックの女王と称された米歌手ティナ・ターナーさんが死去し24日、所属事務所から発表されました。83歳でした。

80年代洋楽ブームのど真ん中世代にとっては、文字通りレジェンドな存在。当時山ほどあった洋楽番組やリクエスト番組、ミュージックビデオ(MV)などを通してパワフルなパフォーマンスを記憶しているだけに、突然の訃報をショックな思いで聞きました。

60~70年代に当時の夫だったアイク・ターナーと「アイク&ティナ・ターナー」として活躍しましたが、なんといっても印象に残るのは80年代ですよね。スーパースターたちがプロモーションビデオで個性を競った「MTV」の全盛期。髪を振り乱し、ミニスカートとピンヒールで歌って踊るパワフルな姿はMTV時代と相性抜群でした。「愛の魔力」「プライヴェート・ダンサー」など、日本でもおなじみのヒット曲を連発しています。

「アイク&ティナ・ターナー」時代のリメークの大ヒット曲「プラウド・メアリー」もキレッキレの代表曲。かっこよすぎる独特な振り付けをビヨンセがカバーしたことも話題になりました。心躍るエネルギッシュな間奏は「笑う犬の冒険」(フジテレビ、99年)のオープニング曲をはじめ、バラエティー番組のジングルとして現在も重宝されています。

「ウィ・アー・ザ・ワールド」(85年)のMVでのティナ・ターナーさんの存在感が記憶に残る人も多いのでは。21人のビッグネームがリードボーカルをつなぐ同曲で6番目に登場。ジェームス・イングラムからのティナ・ターナー、ティナ・ターナーからのビリー・ジョエル、というしびれるリレーで、マイクの前に進み出る際の風格がすごいんですよね。女性としてはトップバッターであり、80年代洋楽の度肝を抜いた同曲の最序盤にふさわしいかっこよさでした。

訃報を受け、バイデン大統領、オバマ元大統領が相次いで追悼のコメントを発表したほか、ミック・ジャガー、マライア・キャリー、ビヨンセらトップスターが続々とリスペクトのコメントを寄せています。所属事務所は「世界は音楽界のレジェンドとロールモデルを失うことになる」と声明を出していますが、本国での反響を見ると、まさにそうなんだなと実感するばかりです。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)

コンサートに出演するティナ・ターナーさん=2009年3月、英ロンドン(AP=共同)
コンサートに出演するティナ・ターナーさん=2009年3月、英ロンドン(AP=共同)
95年、米フィラデルフィアでのライブでミック・ジャガーと競演するティナ・ターナーさん(AP)
95年、米フィラデルフィアでのライブでミック・ジャガーと競演するティナ・ターナーさん(AP)
1995年12月3日、ショーでデュエットを披露するティナ・ターナーさんとエルトン・ジョン(AP)
1995年12月3日、ショーでデュエットを披露するティナ・ターナーさんとエルトン・ジョン(AP)
2019年11月7日、ニューヨークのラント・フォンタン劇場で行われた「ティナ-ティナ・ターナー・ミュージカル」の初日公演にオプラ・ウィンフリーとともに到着したティナ・ターナーさん(AP)
2019年11月7日、ニューヨークのラント・フォンタン劇場で行われた「ティナ-ティナ・ターナー・ミュージカル」の初日公演にオプラ・ウィンフリーとともに到着したティナ・ターナーさん(AP)
ティナ・ターナーさん(左)と歌手のライオネル・リッチーさん=1985年2月、米ロサンゼルス(AP=共同)
ティナ・ターナーさん(左)と歌手のライオネル・リッチーさん=1985年2月、米ロサンゼルス(AP=共同)