舘ひろし(65)が13日、ブルーノート東京で、デビュー40周年記念のスペシャルライブを開いた。歌唱中には石原裕次郎さんに感謝の祈りをささげるシーンも。映画「さらば あぶない刑事」(村川透監督、来年1月30日公開)で共演した浅野温子(54)も祝福に駆けつけ、舘は「幸せ者だなと思います」と喜びをかみしめた。

 舘は“日本のジャズの聖地”に、さっそうと現れた。スタンドマイクを抱き締めるようにつかみ、肩をゆすり腰をくねらせた。甘い歌声に、客席から女性の吐息が漏れる。初のベストアルバム「ANTHOLOGY」を9日に発売した記念の一夜限りのライブのはずだったが、ロックバンド「クールス」のデビュー曲「紫のハイウェー」(75年)を歌うと「来年も」「(日本)武道館!!」と野太い男性の歓声が飛び交った。

 12年にカバーアルバムを発売した裕次郎さんの「嵐を呼ぶ男」と「二人の世界」も披露した。「嵐を呼ぶ男」の歌唱中に、映画の中で裕次郎さんが言ったせりふが流れると天を仰ぎ、祈りをささげた。「ありがとうございますと言わなきゃいけない気がしました」。

 感傷的な雰囲気の中、舘は浅野を招いた。ステージは“あぶ刑事ワールド”に一変した。

 浅野 現役感バリバリで…いろいろな意味で。

 舘 どういう意味だよ!!

 浅野 あたし、たっちゃん(舘)の女遍歴は30年…大体、現場で見てるんで。(中略)格好いい…無駄にね。いつも言うんですけど、無駄にスタイルいいでしょ。変わらないじゃないですか…無駄なんですけど。

 舘 ありがとう。オンコ(浅野)が来ると、何が来ても怖くない気がします。

 29年ぶりの全国ツアーを開いた13年以来2年ぶりとなるライブに、内心は「出てくるまで胃が痛かった。40年やって…自分が情けなくなった」と漏らすほど緊張していた。3カ所ほど歌詞を間違えたというが「ファンの温かさを感じ、本当に楽しかった」と笑った。武道館についても「体力が持てば」と含みを残した。

 “ジャズの聖地”で「大人のステージができた」との手応えもあった。「40周年…あまり先のことは考えたくないね」。舘は、最高の輝きを見せ続ける。【村上幸将】