「パープル・レイン」などのヒット曲で知られる米人気歌手プリンスさんが２１日（日本時間２２日）、米中西部ミネソタ州ミネアポリス近郊の自宅で意識不明の状態で発見され、間もなく死亡が確認された。５７歳。死因は不明だが、６日前に薬物の過剰摂取で治療を受けていたとの報道もある。訃報を受け、オバマ米大統領やマドンナが声明を発表するなど、伝説のロックスターの急死は世界中に衝撃を与えている。

　プリンスさんが変わり果てた姿で見つかったのは、音楽スタジオを兼ねた自宅エレベーター内だったという。死因など詳細は不明で、捜査当局が調べている。

　亡くなる６日前、プリンスさんは体調を崩していた。アトランタでの２公演を終えた１５日未明。プライベートジェット機に搭乗したものの体調不良を訴え、イリノイ州郊外の空港に緊急着陸。近くの病院に搬送された。当時、プリンスさんの広報担当は「インフルエンザにかかっていたが、病院で治療後に自宅に戻った」とコメントしていた。

　一方、プリンスさんは緊急着陸時に薬物過剰摂取のための治療を受けていたとの情報もある。米情報サイト「ＴＭＺ」によると、担当医らは緊急着陸の間、プリンスさんに「セーブショット」と呼ばれる応急注射を打っていたという。応急注射は血流の中のヘロインや麻薬鎮静剤などのアヘン剤と闘うことを助ける作用があるという。

　米ニュース各局は大統領選候補指名争いなどのニュースを短縮。プリンスさんを「音楽界の伝説的人物」と取り上げるなど、急死を大きく報じた。自宅周辺にはファンが集結した。

　各界からも惜しむ声が相次いでいる。プリンスさんのファンとして知られるオバマ大統領は「現代で最も才能豊かな音楽家の１人だった」と悼んだ。英ロックバンド、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーは「革命的なアーティストで素晴らしい音楽家、作曲家だった。才能も無限だった」。マドンナはツイッターにプリンスさんとのツーショット写真を掲載。「彼は世界を変えた。何という喪失でしょう。うちひしがれている」とつぶやいた。

　◆プリンス　１９５８年６月７日、米ミネソタ州ミネアポリス生まれ。本名はプリンス・ロジャー・ネルソン。７８年デビュー。８４年、「パープル・レイン」が全米アルバムチャートで２４週連続１位。０６年のアルバム「３１２１」が全米アルバムチャートで自身初の初登場１位。これまで４７枚のアルバムを発表し、１２作品のプラチナアルバム（１００万枚以上のセールス）と３０曲のトップ４０シングルを生んだ。