お笑いコンビ、ピースの又吉直樹(35)が主演した短編映画「海酒」が、20日、開催中の「カンヌ国際映画祭」で世界初公開された。

 同映画は、作家の田丸雅智氏が書いた短編「海酒」が原作で、田丸氏が作家同士の親交を持つ又吉に直接出演をお願いしたことから生まれた。

 撮影は15年夏に東京都、千葉県、愛媛県で行われ、国内でも一般公開はされておらず、同映画祭が初めての一般公開の場となった。 約100人収容の上映会場には開始前から大勢の観客が詰めかけ、日本の海の色にこだわって製作された作品の色彩や、英語の字幕で繰り広げられる原作の世界観、又吉とミッキー・カーチスの独特な演技が観衆を引きつけた。上映中は固唾(かたず)をのむような静けさが漂い、上映後には大きな拍手が沸き起こったという。

 メキシコから来た映画製作会社の女性は「映像が非常に美しく感銘を受けました。また映画から日本の文化の魅力も伝わってきました」と話した。

 またアメリカの映画祭関係者の女性は「出演者の演技が大変素晴らしかった。またストーリーもとてもチャーミングで、非常に完成度の高い映画だと思います」と感想を述べた。

 現地での反応にプロデューサーの中臺孝樹氏は「日本文化の持つ余白を映像の美しさと共に十分に理解してもらえた」と手ごたえを感じており、スケジュールの都合などで現地入りできなかった又吉らに、反響を報告することにしているという。

 同映画は、スペインの「マドリード国際映画祭」、日本の「ショートショートフィルムフェスティバル」、米「コロンビアフィルムフェスティバル」で上映されることが決定しており、さらに「札幌国際短編映画祭」、「シカゴ国際映画祭」、「ハリウッドショートフィルムフェスティバル」、「ニース国際映画祭」、「トロント国際映画祭」など国内外の多数の映画祭に出品されている。