俳優内藤剛志(61)主演のテレビ朝日系連続ドラマ「警視庁・捜査一課長 シーズン2」(木曜午後8時)が、2時間スペシャルとなった13日の初回放送で、14・5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と上々の視聴率を記録した。テレビ離れが進み、2桁視聴率を取れば合格といわれる中で絶好のスタートを切った。

 同ドラマは12年から「土曜ワイド劇場」で5回放送され、昨年4月期に初の連ドラ化、そして今回が2シリーズ目と地に足の着いた歩みを見せている。

 主演にとりあえず人気者を配し、あとは大手事務所のパイプで芝居経験ゼロのド素人を持ってくる事の多い、どこかの局とは大違いだ(笑い)。

 捜査1課長を演じる内藤は、最近ではすっかり刑事役が定着しているが、記者にとっては、20年近く前によく犯人役をやっていたのが印象深い。中でも、94年の日本テレビ系「家なき子」で、安達祐実演じる主人公の少女すずのろくでなしの父親役が秀逸だった。飲んだくれで妻子に暴力をふるう屈折した男。いつも「YS」マークの野球帽をかぶっているのは、巨人軍を要する日本テレビ・読売グループによる、わがヤクルトスワローズへの嫌がらせではないかと疑っていた(笑い)。今では2度目の結婚をして、立派なお母さんとなった安達も当時は子役。「同情するなら金をくれ!」のせりふで、平均視聴率24・7%の大ヒットドラマとなり、映画や続編も作られた。

 つい先日、内藤にインタビューした際に「犯人役から更生して、立派な刑事になりましたね」と、冗談交じりに聞いてみた。すると内藤は、居住まいを正して「どちらが上ということはない。ただ、常に悪役への興味は持っている」と言い切った。ポッと出とは違う、その他大勢の中からたたき上げた俳優ならではの誇り、そして何よりも演じることに対する愛情を感じさせてくれた。

 テレビ朝日は、水谷豊主演の「相棒」が、今年10月スタートで16作目となる。今では“国民的ドラマ”となった「相棒」も、誰もに知られるようになったのはシリーズの6作目の10年くらい前から。毎日のように視聴率を報じて、騒ぎ立てている記者としては心苦しいのだが、目先の数字に一喜一憂せずに、息の長いドラマ作りを目指す姿勢には、敬服するばかりだ。

 テレビ朝日の、この4月期は刑事ドラマが3本もある。水曜午後9時が、先月なくなった渡瀬恒彦さんが長年にわたり主演してきた「警視庁捜査一課9係」、木曜午後8時が「警視庁・捜査一課長」、同午後9時が天海祐希主演の「緊急取調室」。天海の属する、通称「キントリ」こと緊急事案対応取調班も警視庁捜査一課の部署。つまり同時期に同じ局で、警視庁捜査一課を舞台にしたドラマが3本、放送されているということだ。ぜひ3ドラマのコラボスペシャルを作って欲しい。各ドラマのホームページの出演者相関図を見ながら、しみじみと思った。