今月2日に左肺炎慢性呼吸不全の急性増悪で入院した落語家桂歌丸(80)が14日、横浜市内の病院を退院し、神奈川県民ホールで行われた落語会「特選 匠の噺会」に駆け付け、仕事復帰した。

 退院から2時間半後、会の冒頭で約10分間、歌丸があいさつした。着物ではなくカーディガンを着ていすに座り、鼻には呼吸チューブを付けていたが、声はしっかりしていた。

 歌丸は「このたびはお客さまに大変なご迷惑をおかけして、大変申し訳ないと思っています」と頭を下げた。さらに「本来でしたら着物を着て高座の上から1席聴いていただかないといけないのですが、ちょっと息苦しゅうございます。呼吸器を付けていないとしゃべれませんので」と、高座を務めることができないことをわびた。

 また、誤嚥性肺炎と診断されたことや、寝返りを打とうとして左手を捻挫したことを明かした。それでも入院中の出来事を、自虐も交えて笑い話にしていた。

 歌丸は「まだまだやりたい噺(はなし)も、覚えないといけない噺もあります。今度お目にかかる時は、高座の上から着物を着て、1席としてお会いしたいと思っています」と前向きに語り、観客から大きな拍手を受けた。

 会場を後にする時には、体調を問われ「なんとか、なんとか、です。まだまだ養生しなきゃなりませんので」。退院おめでとうございます、という言葉には笑顔を見せた。

 同会は春風亭小朝との2人会だったが、歌丸の代演として三遊亭小遊三、林家たい平が出演した。

 関係者によると、この日は午前11時ごろ退院、1度自宅に戻って会場入りした。今後は自宅で療養するという。

 17日には都内で、日本テレビ系「もう笑点」(日曜午後5時25分)の収録に参加予定のほか、18日の東京・日比谷シアタークリエでの「春風亭小朝のクリエで落語」で高座復帰を目指す。