「キイハンター」「ずっとあなたが好きだった」など数多くの人気ドラマで活躍した女優の野際陽子さんが13日午前8時5分に肺腺がんのため、都内の病院で死去した。81歳だった。14年に肺がんを患い、15年に手術を受けていた。今年5月に体調が悪化し、入院していた。

 「ずっとあなたが好きだった」で野際さんを起用した貴島プロデューサーは「おしゃれで知的な野際さんに、こんな役をお願いして良いものかと恐る恐るオファーをしたら、快く引き受けてくださった」と振り返った。野際さんは「今どき、こんな着物姿のお母さんいるかしら」と笑いながら役を肉付けした。最初のロケでは「ケガをして血を流した冬彦さんの指を『なめてもいいかしら』とアドリブでペロリとやられた。あれがドラマが大ヒットするきっかけになった」。

 以後、野際さんは着物姿の姑役が定着。「ダブル・キッチン」「誰にも言えない」「スウィート・ホーム」「長男の嫁」などTBSドラマの常連になった。「常々『私はテレビ女優』と言っていた。NHKアナウンサー出身だからか、テレビこそが自分の居場所と、こだわりを持たれていた」としのんだ。