カルト的人気を誇った米ドラマ「ツイン・ピークス」が25年ぶりに再スタートすることになり、このほど、主演のカイル・マクラクラン(58)が来日した。最近でも人気ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」や「デスパレートな妻たち」に出演するマクラクランに、新シリーズの行方や伝説の監督デビッド・リンチ氏(71)の撮影舞台裏を聞いた。

 ヒロインの死の謎を残したままマクラクランは前シリーズと同じクーパー捜査官役で登場する。

 「あれがリンチ魔術なのかなあ。温暖なはずのロサンゼルスが撮影中はなぜか酷寒で、血のりが凍って何度も撮影がストップした。血が凍るってあのことかもしれない」と撮影中の不思議な出来事を振り返る。

 撮影現場のリンチ監督については「芸術家肌のように思われているかもしれないけど、説明は明解で指示も具体的。ユーモラスで楽しい現場にしてくれる。普通のホームドラマが撮られているような雰囲気なんだ。でも、出来上がった映像を見ると、音響や加工で彼なりの『ひねり』が加えられて、出ている僕らが信じられないような、まさかそんな! という世界になっている。彼の作品には数え切れないほど出させてもらったけど、そのたびに新しい驚きがある」という。

 そんな映像マジックで前シリーズ30話を引っ張ったリンチ監督だが、今回の18話にもさまざまな仕掛けがほどこされているという。

 「ネタバレになるからあまり話せないけど、実は僕もクーパー以外の何役かで出ているんだ。18時間にリンチの濃密な思いがこもっていて予想不能の展開だよ」と明かした。放送はWOWOWで22日から。【相原斎】

 ◆カイル・マクラクラン 1959年2月22日、ワシントン州生まれ。舞台活動からデビッド・リンチ監督の映画「デューン 砂の惑星」(84年)の主役に。90年のドラマ「ツイン・ピークス」で人気を不動にする。01年に結婚したテレビプロデューサーのデザリー・グルーバーさんとの間に9歳の男子。