今夏、富士山頂での奉納落語に成功した落語家、桂文枝(74)が31日、大阪市内で、芸能生活50周年事業を締めくくる「ファイナルステージ~またここから始まる~」(12月1日、大阪・オリックス劇場)を発表した。

 84年に文化庁芸術祭大衆芸能部門・大賞を受賞し、映画化もされた代表作「ゴルフ夜明け前」をリニューアルし、2年ぶりに演じる。

 今公演は3部構成で、1部が落語。幕末を舞台に坂本龍馬、近藤勇がゴルフで対決する様を描いた「-夜明け前」をかけるが、今回は、映像も使用した「スペシャルバージョン」で上演。新たに伊藤博文を「開国派でちょっと嫌み」なキャラクターとして追加する。

 文枝は7月の富士山頂奉納落語まで、275作を手がけており、その中でも屈指の代表作が「-夜明け前」。その代表作を自ら改変することに「大事な作品だけども、やっぱり年月が経って色あせている。私の中では、新しい作品の方がおもしろいので、力を入れてやるためにはリニューアルしたかった」と説明した。

 斬新さを求め、変化を恐れないのが、文枝の真骨頂。目標とする「創作300本」へ残り25作までカウントダウンできたのも、そういった挑戦心ゆえでもある。会見にあわせて、「-夜明け前の」主人公の1人、坂本龍馬が愛用した剣、銃のレプリカも持参した。

 幕末が舞台の壮大なネタでもあり、来年のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」の主役・西郷隆盛も登場人物の1人。文枝は「NHKの方にも見に来ていただいて、何か役をもらえたら」と、昨年の「真田丸」以来の大河ドラマ出演へもアピールした。

 1部の落語の後は、2部がトークショー、3部はコンサート。三遊亭円楽の出演は決まっているが、そのほかのゲストは未定。

 加山雄三とも親交がある文枝は、音楽好きでも知られ、コンサートについては「親交がある大物の方を呼びたい。来ていただければ、夢のようですね」と話していた。