宝塚歌劇団宙組の若手スター、瑠風輝(るかぜ・ひかる)が5日、兵庫・宝塚大劇場で、新人公演「神々の土地」に主演し、3度目のセンターに立った。

 「私が持っていない引き出しがもっともっと、必要だと感じた。朝夏さんの退団公演(の新人公演)で主演をさせていただいて、もっと見て学べたし、主人公の役としてもっと生きられた。もっとできたと思う」

 反省ばかりが口をついて出た。瑠風は12年入団の6年目。昨年、「Shakespeare」で新人初主演。続く「エリザベート」でも大役トートを務め、今回は、7年目までが出演できる新人公演3回目の主演だった。

 今公演は、同組トップスター朝夏(あさか)まなとのサヨナラ公演。朝夏からは「この役を愛す-という気持ちも舞台でも忘れずに、役として生きなさい」と課題をもらった。小顔で、さわやかな笑顔、すらりとした長身の瑠風にとって、ロシア革命を舞台にした重厚なドラマは、新境地への挑戦だった。

 しかも、3度目主演の瑠風の回りを固めたのは、ほぼ後輩ばかり。自らの旧友役は、101期生首席入団の3年目、鷹翔千空(たかと・ちあき)。自身演じる主人公の相手役は、今春入団したばかりの夢白(ゆめしろ)あやが抜てきされていた。

 主演経験を重ねてきた瑠風には、リーダーシップの発揮も求められた。それだけに「あえて、3度目とか、考えないようにして、とにかく自分が成長した姿を見せることだけを考えていた」と、無心を強調した。

 その瑠風を追う鷹翔の役は、本公演では次期トップに決まっている真風涼帆(まかぜ・すずほ)が演じている大役。「本当に難しい役で、理解できないかもしれないど、新人公演なんだから、自分の枠を超えたとしても、全力で役になりきりなさい」とアドバイスを受けたと明かした。

 宙組は現在、トップ娘役が不在で、本公演では、今公演で朝夏と同時退団する伶美うららが大公妃を、次期トップ娘役の星風まどかが主人公の婚約者を演じて、ダブルヒロイン体制になっている。この日の新人公演では伶美の役を夢白(ゆめしろ)あやが演じ、星風の役は天瀬(あませ)はつひが演じた。

 東京宝塚劇場での新人公演は10月26日。