悪性リンパ腫のため、5日に亡くなった、鶴岡雅義と東京ロマンチカのメインボーカル三條正人さん(本名・渡辺正好=わたなべ・まさよし、享年74)の告別式が10日、東京都中野区の宝仙寺で営まれ、妻の女優香山美子(73)が目を潤ませながら喪主のあいさつを行った。

 「こんなにたくさんの方にお見送りをいただき、私の夫は悔しいながらも最後のステージを飾ってくださったことに感謝していることと思います」。さらに「行き着くところまでたどり着いてしまいました。悔しい、悔しい無念の旅立ちでございました。本人が一番無念と思っていると思います。74歳、あまりにも早い旅立ちでした」と涙で声を詰まらせた。

 また、入退院を繰り返したことを紹介し、病との闘いの日々に「あの人は本当にすごい。死の間際まで日常会話ができたんです。あっぱれでした」。続けて「三條正人は他に追従を許さない歌手だと思っています。あの独特の歌声、表現力。人がマネをできない歌手だと思っております。まだまだ歌っていただきたかった。あの声を聞きたかった。でも、もうかないません。あの人の姿、生の歌声、それは見ることも、聞くこともできない。でも歌は永遠に残ります。全国のあの人を愛した方に、それぞれの心の中で、また愛して歌をお楽しみいただけましたら、歌手三條正人は悔しいけれど、本望だと思います。74歳ですが、皆さまに支えられ、実が濃い人生を送れたと思います」とあいさつした。

 出棺の際には、ヒット曲「小樽のひとよ」が流され、三條さんの歌声が響いていた。告別式には、女優土田早苗、錦野旦、山本みどりら約600人が参列した。