梶原一騎氏が原作、ちばてつや氏が漫画を担当した、日本漫画史に残る名作「あしたのジョー」が、「週刊少年マガジン」で1968年(昭43)に連載が開始されてから50周年を迎える18年春に、記念企画としてオリジナルアニメ「メガロボクス」が制作、放送されることが13日、講談社から発表された。

 「メガロボクス」は、八百長試合に身を沈めるボクサーが、運命に抗うために自分の全てをかけてリングで戦う姿を描くオリジナルストーリー。監督・コンセプトデザインは森山洋氏、シリーズ構成・脚本に真辺克彦、小嶋健作両氏、音楽は、国内外で活躍するアーティストmabanuaが担当。1980年(昭55)に日本テレビ系で放送された「あしたのジョー2」も制作した、トムス・エンタテインメントがアニメーション制作を手掛ける。

 梶原一騎(高森朝雄)氏の長男・高森城氏、ちば氏、森山監督がコメントを発表した。

 高森氏 ちば先生と父梶原一騎が、文字通り手を握ったことで生まれた矢吹丈が、丹下段平と出会ってから50年という時間が経過しました。これほど長くこの作品を愛してくださった皆様に心からの感謝を申し上げます。半世紀という時は、根性という言葉すら死語とさせましたが、ジョーたちの思いや生き方は、時代を感じさせることはないでしょう。「メガロボクス」では2人が作り上げた精神の部分を、どんな形で再現するのか、あるいはどのようにアレンジするのか、楽しみにしております。

 ちば氏 「あしたのジョー」が来年、連載開始から50年を迎えることになりました。まだ若くて元気だった梶原さんとボクは、ジョーや力石たち登場人物に負けないくらい毎回真剣勝負で、夢中になって作品に向き合ってきました。あとに真っ白な灰しか残らないくらい、一途に何かを追い求める。どれだけ時代を経ても色あせない人間ドラマがあるとすれば、そんな姿勢にこそ共感が宿るんじゃないかな、と思います。あらためて長い間、愛される作品に関われたことを誇りに思うと同時に、何よりもまずジョーを愛し続けてくださった、ファンの皆さんに感謝の気持ちで一杯です。新作アニメ「メガロボクス」は、そんな「あしたのジョー」を愛してくださっているスタッフの皆さんが魂をこめて制作してくださっています。今の時代にふさわしい、全く新しい切り口の、でもどこかに普遍の核がある、骨の太い作品になるんじゃないかな、と、今から楽しみにしているんです。

 森山監督 好きな物語の主人公は、いつも憧れで出来ていました。決して交わることのない、自分とは別の世界に生きる彼らの考えや行動を理解したくて、たまらなくなる。共感よりも、もっと強烈に心揺さぶられるものが憧れなんだと思います。矢吹丈も、そんな主人公の一人でした。「メガロボクス」の主人公にもその思いを込めました。自分勝手な人間たちが必死に抗い、闘い、ともに生きる。そんな人間たちの物語を最高のチームで作りました。“自分は今、何をしているか”そう考えたことのある人にはきっと届く作品になると思います。

 ちば氏が「連載開始50周年というこの機会に、さまざまな企画が準備されていると聞いています」と語っているように「メガロボクス」をはじめ、18年に「あしたのジョー」連載開始50周年プロジェクトが始動する。