90年代の人気番組だった日本テレビ系のバラエティー「進め!電波少年」シリーズのT部長として知られる、土屋敏男氏(61)が代表理事を務める一般社団法人「1964 TOKYO VR」の設立が25日、都内で発表された。第1弾プロジェクトとして「1964 SHIBUYA VR」も併せて発表された。

 「1964 SHIBUYA VR」は東京で初めて五輪が行われた1964年(昭39)の渋谷の街並みを、当時の写真を元にVR(バーチャルリアリティー)の技術を使って3次元で再現するもの。東京電鉄と渋谷区の協力を得て、それぞれから64年当時に渋谷の街並みを撮った写真400枚、計800枚の提供を受けて完成を目指している。

 アポなし突撃で知られた「電波少年」シリーズを手掛けた土屋氏は「無謀な番組を作ってきましたが、最近は少し更生しまして、1960年代の東京をよみがえらせようとしています。1年半くらい前から研究して、2020年の東京五輪があるから1964年をテーマにしました。渋谷を選んだのはエネルギーの集まる街で、特に(渋谷駅前の)スクランブル交差点は世界中から注目を浴びている。まだ、途中ですが、シニア世代が撮った写真から、若い世代がテクノロジーを駆使して再現する、多世代でのタイムマシン作り」。写真提供や賛助会員としての資金提供を呼び掛けた。

 土屋氏と師弟関係にあるタレント萩本欽一(76)は、個人の特別賛助会員第1号として入会金10万円、年会費10万円以上を払うことになった。「古い写真を1枚、見せられて『いいでしょ』って言うから『いいね』って言ったら、金を取られることになった(笑い)。土屋さんは無謀な人だけど、周りにすぐれた人たちがいるから投資してみようと思った。元は取れるんじゃないかとね。それに、日テレ辞めちゃったんでね」とエールを送った。土屋氏は「まだ、ちょっとだけ籍は残ってますから」と苦笑いした。

 萩本は64年当時は、渋谷に住んでいた。「そこから浅草へと修行に行っていた。一番の渋谷の思い出は、トリオを組んでたんだけど、メンバーの1人に渋谷のおせんべい屋さんの息子がいた。立ち退きでアパートやマンションを建てることができちゃって、コメディアンを辞めることになっちゃった。でも、それでコント55号が出来たんだからね」と振り返った。プロジェクト第1弾は渋谷だが、萩本は「次は浅草がいいね。出来れば江戸時代なんかまで戻って、写真じゃなくて絵からでもいい」と話した。

 野本弘文東急電鉄社長(70)は「渋谷に最初の駅が出来たのが90年前。渋谷が、ますます発展するのを期待しています」。長谷部健渋谷区長(45)は「土屋さんと初めて会う時は、びびりました。どんな電波少年的な話なのかと思っていたら、すてきな話だった。昔の記憶が街に残せるのを期待しています」と話した。