大阪市と吉本興業は22日、市民サービスの向上と地域活性化を図ることを目的とした包括連携協定の締結式を行い、地域活性化プロジェクトのリーダーに落語家、桂文枝(74)が就任したと発表した。

 文枝はこの日、吉村洋文大阪市長(42)と大崎洋社長(64)による締結式に出席。大阪市の全24区を描いた創作落語を作ることが決まった。これによって「生涯創作300本」を目標に掲げてきた文枝は、すでに280作近くを手がけているだけに、再来年には、生涯“ノルマ”を達成することになりそうだ。

 今回の連携では、市内24区に実際に住み、地元をPRする「大阪市24区住みます芸人」も決定。文枝は24区の芸人と、各地域を盛り上げていく。

 市内では大正区、港区で暮らしたことがあり、第1作のターゲットは住之江区に決めた。「昔からの仲間の横山やすしさん(故人)に、興味もないのに(競艇場へ)よう連れて行かれた」思い出の場所で、大正区、港区の下部に位置することから、24区落語の初陣場所に定めたという。

 芸能生活50周年の今年、大崎社長との会食時に、大崎社長から24区落語を依頼され、文枝は快諾。「さらっと、ぼやんとですけど、だいたい(24区落語は)構想は見えてきました」と話した。

 24区での落語会は来年3月下旬にスタートし、2カ月に1区での上演を予定している。24区落語だけでも来年5作、再来年までなら11作をネタ下ろしする見込みとなる。

 文枝は「生涯300作」の創作を“公約”に掲げてきた。近年の高座スタイルから考えれば、これ以外にも独演会や、定期開催する創作落語の会でもネタ下ろしをしている。

 現在、約280作を手がけ、残り約20作と考えると、24区落語の完走予定となる22年春を待たずに、再来年中にも、300作目を披露する可能性は高そうだ。また、各区でのネタ下ろし落語会を映像に収め、ショートムービーとして公開することも検討されている。