放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は8日、フジテレビの情報番組「とくダネ!」が放送した刑事事件に関する2つの特集について「放送倫理違反があったと判断した」とした。

 今回、同委員会が意見を発表したのは、1つは昨年7月27日放送の「医療PJ『さい帯血医療』“医学博士”が“ヤミ治療”に関与か」。医師免許のない松山市の民間研究所理事長が患者を診断したなどとして逮捕された事件を放送時、容疑者とは別人のインタビュー映像を使用していた。もう1つは同8月28日放送の「父親は元京都府知事 エリート府議を美人妻が“DV告訴”」。京都府議の男性が書類送検される前に、書類送検されていたように報じていた。

 同委員会は「事実に反する報道で誤った情報を視聴者に伝えた2つの特集は、放送倫理基本綱領や日本民間放送連盟放送基準に抵触し、放送倫理違反があったと判断した」との意見を発表。「いずれの特集でも、その制作過程で誤りに気づいて修正するチャンスがあったにもかかわらず見逃されてしまったことから、刑事事件報道の原則を再確認するとともに、番組スタッフの連携の力をさらに高めるよう求めた」とした。