90年代にフジテレビ系で放送された「料理の鉄人」の同窓会「絆の鉄人」が11日、都内で開催され、道場六三郎氏(87)らが一堂に会した。

 小説「キッチンコロシアム」(幻冬舎)の出版を記念したイベント。鉄人は和の道場氏と中村孝明氏(70)、中華の陳建一氏(62)、フレンチの坂井宏行氏(75)、イタリアンの神戸勝彦氏(48)の5人が出席し、挑戦者は80人が集結した。

 同番組は93年10月から約6年間放送された料理対決番組だが、この25年間で初の同窓会。乾杯の音頭を取った道場氏は「本当に懐かしい顔ぶれにお会いできてうれしいです」といい、「つくづく思いますが、僕は料理人になってよかった。年を取って腕が衰えて、身体が思うように動かなくても、想像する頭は全然衰えないです。想像することによって希望を持てた。これは料理のおかげです」と話した。

 陳氏は「そんなにたっているなんて感覚はないね。ただやっぱり年はとった。年月をちょっとだけ感じました」といい、坂井氏は「25年前のメンバーや挑戦者に会えて本当にうれしいです」と懐かしさを口にした。

 この日、10分間の料理対決も行われた。神田川俊郎氏(78)率いる神田川本店料理長を務める谷口広一氏が登場し、94年に神田川氏が敗れた陳氏を指名した。テーマ食材は「ダチョウの卵」。突然の指名に陳氏は「やりたくないよ!」とぼやいたが、「2度と作れない卵料理」を作り上げた。谷口氏は「卵のゆず蒸し」を作り、3人の審査員による試食の結果、2対1で谷口氏が勝利し、24年ぶりの師匠の雪辱を果たした。 負けた陳氏は「負けたくは無かったけど、勝ってまた番組が復活したら困るからな」と話したが、最後は「お互い料理人としていい人生を歩いていこう」と固い握手をかわした。