落語家の立川志らく(54)が、山田洋次監督(86)の新作「妻よ薔薇のように 家族はつらいよ3」(5月25日公開)に刑事役として出演する。その場面写真とメイキングが21日、公開された。

 志らくは、2017年ブレイクタレントランキング3位、出演番組数は240本を超えるなど、昨今はメディアで見ない日はないほど多忙だ。その志らくに大の落語好きで知られる山田監督が出演のオファーをしたが、本当に出演してもらえるのか不安だったという。一方、志らくも熱烈な映画ファンとして知られ、「男はつらいよ博士」を自称するほどの山田監督作品の大ファンでもある。山田監督からのオファーに「最も敬愛する監督の作品に出演することになった」と意気込み、出演が実現した。

 志らくは、撮影当日に「昨日、テレビ(BSジャパン『やっぱり土曜は寅さん』)で見た『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』のあまりの完璧さに(出演者として撮影に参加することが)怖くなってしまいました。出演できるだけで幸せです」と恐縮しながらも挑戦に意気込みを見せた。そして平田家の長女・成子役の中嶋朋子、自身と同じ落語家で夫の泰蔵を演じた林家正蔵との共演も実現し、本編では落語話で盛り上がる一幕も。思わずクスリと笑ってしまうシーンに注目だ。

 完成した映画をいち早く見た志らくが「正蔵さん、面白い」とツイートすると、インターネット上で話題になるなど反響は大きい。“刑事志らく”がスクリーンで、どんな表情を見せるか、注目だ。

 「妻よ薔薇のように-」は、山田監督にとって「男はつらいよ」以来20年ぶりの喜劇映画として製作され、16年3月に公開された「家族はつらいよ」のシリーズ第3弾。「家族はつらいよ」は、同監督の12年「東京家族」で一家を演じた俳優8人が再集結し、橋爪功演じる平田家の父周造と吉行和子演じる母富子の、熟年離婚騒動に揺れる一家の喜怒哀楽を人情たっぷりに描いた。17年5月公開の「家族はつらいよ2」では、熟年離婚を乗り越えた周造が、運転免許を返上させようとする子どもたちとせめぎ合う姿を描く中で、現代社会で深刻な問題となっている無縁社会とも向き合った。

 「妻よ薔薇のように-」では、育ち盛りの息子2人と夫・幸之助(西村まさ彦)、夫の両親との3世代で暮らす長男の嫁・史枝(夏川結衣)が、家事の合間にうとうとしていた昼下がりに泥棒に入られ、冷蔵庫に隠しておいたへそくりを盗まれてしまう。幸之助から「俺の稼いだ金でへそくりをしていたのか!」と余りに気遣いのない嫌みを言われ、それまでたまっていた不満が爆発した史枝は、家を飛び出してしまう。

 一家の主婦が不在となった平田家は、大混乱に陥る。ひどい腰痛の富子に代わり周造が掃除、洗濯、食事の準備と慣れない家事に挑戦するが続くわけもなく、家族そろって史枝の存在のありがたみを痛感させられるが、戻ってくる気配は一向にない。家族会議が緊急召集され、平田家が崩壊の危機に陥る。

 山田監督は「妻よ薔薇のように-」で描いたテーマについて「今回は妻への賛歌です。専業主婦の家事という仕事がどれだけ大変か、家族にとって主婦の存在がどれだけ重要な意味を持っているか」と語った。

 平田家の両親、長男、長女夫婦を演じる6人のほかに、次男の庄太役の妻夫木聡、妻の憲子役の蒼井優と、一家を取り巻く面々を演じる小林稔侍、風吹ジュン、笹野高史、木場勝己、藤山扇治郎、徳永ゆうき、笑福亭鶴瓶も出演。前作では火葬場の職員役で出演したが、今作ではどのような役どころでの登場となるか? その鶴瓶の出演シーンの写真も、初解禁された。