BoA(31)が4日、東京・青海のZepp東京で全国ツアー千秋楽公演を行い、その模様を取材した。

 14年9月以来、約3年半ぶりの日本ツアーで、30代になってからは、初の日本でのツアーだった。代表曲「VALENTI」などを披露したが、記者は12年前のBoAのある姿が頭に浮かんでいた。

 06年8月、神宮外苑花火大会の国立競技場会場のメインゲストが、BoAだった。当時、入社前だったが「内定者研修」として、同競技場で先輩社員のサポートをしながら(といっても、ただその場にいるだけだったが…)、出演アーティストのリハーサルや本番のステージを見守った。

 当日のリハーサルだったと思う。リハーサルを終えたBoAの表情が、明らかにゆがんでいた。スタッフらが慌てて駆け寄るなど、かなりざわついていた。どうやら、疲労の蓄積などから、右足首を負傷したらしいとのことだった。

 遠巻きに見ても、大変なことが起きたと思いながら、本番を迎えた。すると、何食わぬ顔でブーツを履き、ステージでパワフルに踊るBoAがいた。素人目にも、とてもけがをしているとは思えないパフォーマンスだった。当時の記事を見てみると、降板を勧められたが耳を貸さず、観客にも伝えないまま責任をまっとう。出番を終えた時も病院に直行するよう言われたが、痛みに顔をしかめながら「日本で初めての花火を楽しみたいから嫌です」と話したそうだ。BoAはまだ10代。「プロって、すごい!」と教わった気がした。

 あれから時がたち、BoAも30代になった。2月に発売したアルバム「私このままでいいのかな」でも「30代になって、同じ恋愛の歌でも深い歌詞になっていると思う。皆さんの背中を押せるような、温かいアルバムにしたかったんです」と話した。大人になったBoAが、さらに大きく見えた。