俳優佐野史郎(63)が29日、東京・フジテレビ本社で、オトナの土ドラ「限界団地」(6月2日放送開始、土曜午後11時40分)制作発表会見に出席した。

 佐野は63歳で連ドラ初主演となり、オトナの土ドラでは最年長主演となる。孫娘に異常な愛情を注ぎ、古き良き団地への執着を抱く老人、寺内誠司を演じる。

 主演だという認識は、無かったという。「台本を読んでいて、やけに出演シーンが多いなと思った」と明かし、主演だと気付いて「おそらくハトが豆鉄砲を食らったような表情をしていたでしょうね」と笑った。

 92年放送で社会現象にもなったドラマ「ずっとあなたが好きだった」の桂田冬彦を思わせる役柄でもある。「台本を読んで、そこを期待されているのは、正直感じた」とし、「あのマザコン男は本当に悪いと思っていなかったけど、寺内は折り合いが付かない社会に打って出るので、一枚上手です」と明かした。「俳優は演じた役を弁護するのも役目だと思うが、この寺内は弁護のしようがない。冬彦の10倍はひどいことをすると思うが、怖さの質が違う」と述べた。

 その一方で、初めて芽生えた感情もある。「孫への愛情は、周りを見ていてもなんでと思っていた。でも、役とはいえ孫が寄って来ると、かわいいと思った。芝居もやり過ぎちゃうくらいだった」と笑った。「初主演で、初めて抱いた感情。初物づくしですね」と話した。

 この日、共演する足立梨花(25)迫田孝也(41)山崎樹範(44)も登壇した。足立は、26歳で子持ちの団地妻役を演じる。「自分でもビックリしました」といい、「年齢的に考えれば、そういう人もいますよね。でも、自分が母親役を演じるのが、感慨深いです」と話した。

 佐野は、「足立さんに向かって団地妻と言うのは、犯罪ですよね」と笑った。「70年代の日活ロマンポルノですよ。足立さんに団地妻をかぶせる作家やプロデューサーの良い意味での変態性は、土曜の夜に、犯罪だな」と笑った。そんな佐野だが、「団地妻を演じるにあたって、クランクイン前にDVDを2本、勉強用に渡した」と告白した。「まだ見ていない」という足立に、「名作ですが、ピンク映画ですから」とほほ笑んだ。