第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した「万引き家族」(8日公開)の出演女優、安藤サクラ(32)が公の場で初めて受賞の喜びを語った。

 審査員長を務めたハリウッド女優のケイト・ブランシェット(49)から“泣きの演技”を絶賛された安藤は「海外のスターたちは粋な褒め言葉を使うんだな」と照れ笑い。撮影中の「母乳秘話」も明かした。

 朝ドラ史上初の“ママさんヒロイン”を演じる次期NHK連続テレビ小説「まんぷく」の撮影の合間となった4日。5月19日(日本時間20日)のパルムドール受賞後、安藤が初めて記者会見した。冒頭では「夢の中の出来事みたい」と笑顔を見せた。

 パルムドールの受賞を知らされたときは熟睡中だった。マネジャーに授賞式が始まったら起こしてほしいと伝えて寝た。「起こしていいですか」「伝えていいですか。パルムドールです!」。寝ぼけた状態でマネジャーの興奮した声を聞いた。「あのときの記憶が焼き付いているので、まだ夢の中の出来事みたい」。

 テレビではNHKが快挙を伝えていた。「(映像を)残さなきゃ。使い捨てのフィイルムのカメラでテレビ画面を撮りました」。

 受賞後、時間が経過するとともに喜びは大きくなっている。クリーニング店で働く母・信代を演じた。「あの作品の家族と過ごした時間はすごく楽しい時間。温度として自分の身体に残っている時間です。劇中で信代の『すごく楽しくてお釣りがくるくらい』というセリフがある。いまはそれどころの騒ぎじゃない、すごい時間を過ごさせていただいた」。

 昨年6月に夫柄本佑(31)との間に第1子となる女児を出産した。「万引き家族」は出産後、初めて撮影となった。「骨盤もまだちょっと開いている状況。あふれ出る母性と母乳に戸惑いながらの撮影だった。撮影中は母性も母乳のただ漏らしだった」。ありのままの表現で振り返った。

 出産直後の撮影だったため、世間の目も気にした。「子どもはどうしていたのか? (世間に)たたかれないか。それがすごく怖くて…」。心配しすぎて「映画撮影している間、虐待」。そんなフレーズも頭に浮かんだという。

 撮影中はトイレに行くふりをして長女に母乳を与えていた。「スタジオから一番遠い部屋に内緒で行き、お乳をあげていたんです。だからカットによってはおっぱいの大きさが違うんです」。

 審査員長を務めたハリウッド女優のケイト・ブランシェットは安藤が終盤に見せた、声も出さず、無表情のまま涙を流すシーンに「もし今回の審査員の私たちがこれから撮る映画の中で、あの泣き方をしたら、安藤サクラのまねをしたと思ってください」と絶賛。是枝監督も「審査員をとりこにしていた」とうなった。

 是枝作品初参加でパルムドール受賞作に名を連ねた。是枝監督とは9日、東京の舞台あいさつで受賞後、初めて会う。「うれしい気持ちと感謝の気持ちを伝えたい。150%で伝えます」。もうすぐ「家族」と会える。