9月16日に引退を表明している安室奈美恵(40)の全国5大ドームツアー「Finally(ファイナリー)」が、今月3日に行われた東京ドーム公演で終演した。ラストツアーでは、海外3カ所6公演を含めて80万人が“最後の勇姿”を見届けた。

 2月17日のツアー初日のナゴヤドーム公演と、最終の東京ドーム公演を取材した。改めて、パフォーマンス力の高さはもちろん、安室がこれまで積み重ねてきたスタイルのすごさを実感した。ここ10年は、テレビ出演もほとんどせず、ライブ活動に専念。さらにライブでのMCはあいさつ程度で、衣装替え以外は、ほぼノンストップでパフォーマンスし続けるスタイルは、ファンのみならず、一般的にも浸透していた。

 引退発表前の昨年5月の全国ホールツアー千秋楽公演や、9月に沖縄で行われた25周年ライブも取材したが、安室が手を振ったり、ニコッと笑ったりするだけで、歓声が起こる。ファンも安室の一挙手一投足を見逃すまいと、ライブに集中しているのだ。ドームツアーでも、白のドレス衣装で歌った「CAN YOU CELEBRATE?」で、両手でスカートを持ってちょこっとおじぎするしぐさを見せると、ドームは大歓声に包まれた。沖縄のライブの時に話を聞いたファン夫婦も「MCはないけれど、何かしゃべるのでは? とドキドキするのさえ楽しいんです」と話していた。

 また、最終公演を鑑賞したというPUFFYの大貫亜美(44)が、ライブ中に水を飲まないことに対する驚きを自身のインスタグラムでつづっていたが、確かにあれだけ歌って踊っているにも関わらず、ステージ上で水を飲むことがない。ファンもそれを知っている。だから、初日のナゴヤドーム公演で、ダンサーとファンにあいさつして、これで終演と思われた直後に、ステージ上で水を口にした瞬間、どよめきが起こった。ふ~っと一息つくと、「しゃべるのは、久しぶりですね」と切り出した。あの安室が、しゃべる。どよめきがさらに大きくなる中、ファンへの感謝の思いを口にした。あえて封印を解いて、最後は直接ファンに思いを伝えるという、安室の心意気も感じた。

 引退までの3カ月についてはまだ明らかになっていないが、最後の最後まで安室の一挙手一投足が見逃せないことには、変わりはなさそうだ。