舘ひろし(68)黒木瞳(57)のダブル主演映画「終わった人」(中田秀夫監督)の初日舞台あいさつが9日、東京・銀座の丸の内TOEI(1)で行われた。舘は、満員の劇場を見渡し「朝早くからホントに暇なんだなあ」と照れ隠しであいさつ、黒木は「『終わった人』が始まった素晴らしい日です」と感慨深げだった。広末涼子(37)を加えた俳優3人がそろい、大きな拍手が起こった。

 定年後の人生を模索する主人公と妻を中心に、恋や再就職などさまざまな要素が入った同作は、239スクリーンで封切られた。大人向けの人情コメディーとしては公開規模も大きい。当初は50代、60代、さらに上の客層が中心になると考えられていたが、実際は40代以下の観客も多かった。興行関係者は「主演2人のスター性に加え、定年後の物語というだけでなく、コメディーで夫婦の物語だということが観客に届いたのでは」と分析した。

 舘はPRのため、新聞、雑誌25媒体に登場、バラエティーも11番組出演した。初めて回転ずしに行ったり、控室や好物を紹介するなど、これまでにない姿も見せた。こうしたPRも好スタートにつながった。

 演技でも新しい舘の姿が見られる。舘は「中田監督と芝居やアドリブを相談しながら作った。今まで、自分から仕掛ける芝居をなかなかさせてもらえなかったので、すごく楽しかった」と話し「黒木さんが(妻)千草という役をちゃんとやってくれたおかげ。この映画は黒木さんの手のひらの上でコロコロと作られた」と感謝した。中田監督も「3人からコメディーのアイデアをたくさんいただいた」と振り返った。

 黒木と広末は舘に花束を贈り、全員で「終わった人」の始まりを祝福した。【小林千穂】