宝塚歌劇の雪組「凱旋門」新人公演が26日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、4年目の縣千(あがた・せん)が初主演を務めた。

 初センターを終え、「0番(中央)」に立ってのあいさつは、感極まって声が震えた。

 「最後のあいさつは皆の気持ちを伝えようと…後ろ(組メンバー)からも…(客席からも)愛を感じ、周りからたくさん、そしてものすごく温かいものを感じ、安心して(センターに)いられました」

 趣味も特技もダンス。表情豊かな踊り、若さと躍動感にあふれた立ち姿、色気を含んだまなざしから、早くもわきたつ個性を「あがた色」とファンに呼ばれている注目株は、堂々と主役を張りきった。

 本公演は、劇団理事で専科スターの轟悠(とどろき・ゆう)が主演。男役の体現者が、00年に文化庁芸術祭賞を受賞した主演ミュージカルの再演に自ら臨み、話題を呼んでいる作品。第2次世界大戦前夜のパリを舞台に、ドイツからの亡命外科医ラヴィックを中心に描く人間ドラマだ。

 衣装はスーツ。立ち姿で「男」を表現する難役に、轟からは「芸事のすべては見て学ぶこと。見て、あなたが感じたことを舞台で表現しなさい」と言われ、本公演中、轟の演技を懸命に追ってきた。

 「今日は、ちゃんとラビックとして、生きられたなって思います。お見せしたいラビックが見せられたと思います」。まだ4年目に入ったばかりとは思えない落ち着きを保ったまま、初主演の大役を務め終えた。

 主人公ラヴィックと運命の出会いをするヒロインのジョアンは、3年目の潤花(じゅん・はな)。新ヒロインは2作連続となる潤は「今まで以上の努力をしていかなきゃいけない。課題がたくさん見つかった」と反省。一方で、縣と同じく役に気持ちを込める思いで、演技にぶつかったといい「気持ちだけは、ジョアンでいられたと思います」と話すと、主演の縣と見つめ合っていた。

 東京宝塚劇場での新人公演は8月9日。