女優前田敦子(27)が、1カ月にわたるウズベキスタンでのオールロケに挑戦した映画「旅のおわり、世界のはじまり」(来年公開)に主演することが9日、分かった。メガホンを取るのは、カンヌ映画祭をはじめ海外での評価が高い黒沢清監督(62)。日本とウズベキスタン合作で、前田にとって4年ぶりの主演作。

 前田は「AKB48として7年、AKB48を卒業して今年で6年。ちょうど半分くらいのところにきて、今回、女優としてすごく良い経験をさせてもらい、幸せだと思えるところまでたどり着いたと思っています」と、転機となる作品になったとしている。

 中央アジアのウズベキスタンは、かつてシルクロードの交易地として栄え、さまざまな文化が混在する国。4月30日にクランクインし、首都タシケントや古都サマルカンドなど各地で撮影され、5月29日に撮了した。長編映画での海外オールロケ初の前田は「行く前はすごく構えてしまったのですが、驚くほど良い所だと思いました。街の人たちも本当にいい人で、言葉が通じなくてもこの国なら生きていけると、異国で初めて思いました」と振り返った。エキストラの女性から「かわいい!」とほっぺにキスされるなど、現地でも大人気だった。

 前田が黒沢作品に主演するのは、中編作品「Seventh Code」(14年)以来。実はその以前にも日中合作映画「一九〇五」の企画があったが、13年に製作中止になってしまった悔しい思い出がある。

 前田は「『一九〇五』のお話をいただいて6年たち、黒沢監督の作品で主演を務めるのは、私にとってもいちばんの夢でした」と話し、黒沢監督も「『一九〇五』からの念願でした。前田さんは役柄を直感的につかんで自然に表現できる。天才です。カメラに映ると強烈な個性を発揮します。日本にも、ものすごい女優が出現しました」と絶賛している。

 日本とウズベキスタンの本格的な合作映画は初めて。前田演じる女性リポーター葉子が、バラエティー番組のクルーとともに取材でウズベキスタンを訪れ、異文化の人々と触れ合い、成長する様子を描く。第2次世界大戦でソ連の捕虜となった日本人が建設に携わったナボイ劇場でのシーンも見どころになる。同劇場完成70周年、両国の国交樹立25周年を記念して製作される。