V6岡田准一(37)が27日、主演映画「散り椿」(木村大作監督、9月28日公開)の完成報告会見に出席した。数々の名優を見てきた木村大作監督(79)は岡田について「スピードに関して言ったら三船敏郎、高倉健、仲代達矢、勝新太郎を上回る」と殺陣の動きを絶賛。岡田は「くらくらしてどうしたらいいか」と恐縮した。岡田の執念ともいえる殺陣へのこだわりに共演者の西島秀俊(47)池松壮亮(28)からは不満の声も上がった。

直木賞作家の葉室麟さんの小説を原作とした、木村氏初の時代劇。ぼくとつとして不器用ながらも、愛する女性のために命懸けで闘う侍を描き、切なくも美しい愛の物語に仕上げた。

1958年に映画界入りしたベテランが岡田の演技への姿勢を絶賛した。劇中の殺陣は、木村監督から「これまでに見たことのない殺陣を」と要請されて岡田が動いた。すべて岡田が考えたという殺陣について、木村監督は「スピードに関しては、三船敏郎、高倉健、仲代達矢、勝新太郎を上回る。殺陣はひとえにスピード」と、名優の名を挙げて岡田を褒めた。

アクションには自信のある岡田が「作っては壊し、作っては壊した」と振り返った殺陣。それでも監督からの予期せぬ言葉に「すごい人たちの名前が出てきて、クラクラします」と恐縮。木村監督は「僕はうそは言いませんからね」と念押しした。

岡田の殺陣を受けた共演の西島は、「稽古中は本当に斬られたこともありました」と激しさを物語った。一方で「岡田君が一番ひどかったのは、3カ月かけて作った殺陣を当日の朝に変えた」ことも暴露。殺陣変更は当日3度目の交渉でようやく実現したといい、岡田は「予定調和にならないように、当日言ったほうがいいかと思って。粘ってよかった」とほほ笑んだ。

西島に続いて、池松も「1、2カ月練習してきたことを、次本番! ってときに3パターンくらい見せられて、『どれがいい?』と。こちとらどうでもいいんですけど、一応先輩なので」と不満をさく裂させた。

2人の言い分を聞いた岡田は「いろいろとすみません!」と平謝り。それでも「最後の最後に(池松から)師匠と呼ばれたんです。そういう役柄なのですごく感動したけど、この前聞いたら『え、言いましたっけ』って。俺のドキドキを返せ!」と切れ味鋭く反論する場面もあった。

◆映画「散り椿」 2012年「蜩ノ記」で第146回直木賞を受賞した葉室麟の時代小説が原作。江戸時代中期、藩の不正を訴えたが認められず藩を出た新兵衛(岡田)は、妻の篠(麻生)から「采女(うねめ)様を助けてほしい」と最期の願いを託される。榊原采女(西島)は友人だが、新兵衛の離郷に関わる因縁があった。篠の願いと不正の真相を突き止めるべく、新兵衛は藩に戻る。愛にあふれた妻の本当の思いを知る。