歌舞伎俳優中村芝翫(52)が2日、東京・中央区の新橋演舞場で、主演舞台「オセロー」の初日を終えた。

2年前に芝翫を襲名して以来、歌舞伎以外の舞台に出るのは初めて。シェークスピア作品も初で、将軍オセローを演じている。

終演後に取材に応じ、「ホッとしました」と第一声。シェークスピア作品について「役者として生を受けたからには、1度はやっておきたい」と決意を語った。

オセロをだます忠臣イアーゴーを演じたのは、ジャニーズWEST神山智洋(25)。当初は今井翼が予定されていたが、今井がメニエール病の治療で活動を休止したために抜てきされた。

神山は、落ち込んでいた時期もあったという。「膨大なセリフは、お風呂の中や犬の散歩の時などにもブツブツ言って覚えた。でも、セリフを覚えても、感情が乗ってこないといけない。悩んで、元気のない時期もあった」と明かした。だが、会見の最後には「バッチリ勤め上げた」と笑顔で胸を張った。

また、この日は、脳内出血で療養していた芝翫の兄・中村福助(57)が、東京・歌舞伎座で約5年ぶりに舞台復帰を果たした。芝翫は「まだ万全ではないが復帰しました。涙が止まらない。これから、兄弟で共演もしたい」と復帰の喜びを語った。

また、11年に死去した父の7代目中村芝翫(享年83)は、11年に同じ新橋演舞場で9月1日に舞台初日を終え、同2日から休演をして入院。そのまま舞台に戻ることなく亡くなった。「今日は芝翫の魂が入れ替わった気がします。9月2日は忘れられない日になりました」と話した。