歌手安室奈美恵(40)が2018年9月16日をもって引退した。担当記者が「最後のアムロ」を語る。

 ◇  ◇  ◇

ラストステージの安室はいつも通りのかっこよさと、時折見せる「くしゃ顔」のかわいさを持ち合わせつつ、肩の力がいい意味で抜けているように見えた。

ドームツアーで全て出し切ったからだろうか。担当になって以降取材した、昨年5月の全国ホールツアー最終公演(大阪・オリックス劇場)や同9月の25周年公演(沖縄・宜野湾)、そして最後のドームツアーで見せたどのパフォーマンスよりも、朗らかな笑顔が際立っていたように感じた。

1年前、この日の引退を発表した。これまで仕事を共にしてきた関係者らに、安室のことを聞く機会も増えた。口をそろえるのは「これと決めたことはやりきって、絶対に妥協はしない」姿勢だった。

ラストステージで歌ったのは、これまでステージでは実現できていなかった共演者とのコラボ曲。「やってみたかった」「見てみたかった」と当人もファンにも1つたりとも後悔を残さなかった。コラボ曲以外は、最後のアルバム「Finally」の収録の新曲のみ。過去をことさら振り返るのではなく、前を向いていく意気が伝わってきた。

40分間の“最後の時間”を終えると「本当に本当にありがとうございました」と感謝を伝え、笑顔で手を振ってステージを後にした。余韻も残さずに。

最後に歌ったのは、95年から01年まで楽曲を手掛けた小室哲哉(59)プロデュースの新曲「How do you feel now?」。26年間全力で走りきった今、彼女が何を感じているのか-。いつか聞ける日はくるのだろうか。【大友陽平】