6月に胆のうがんのため80歳で死去した俳優、加藤剛さんのお別れ会が30日、東京・青山葬儀所で営まれた。

故郷静岡のシンボル富士山をイメージした祭壇は、青、白、緑を基調とした3500本の花で飾られた。加藤さんは生前「富士山が見える茶畑に囲まれて育った」と話していたといい、関係者は「茶畑から富士山が見えて、その上で剛さんが舞台に立っているイメージです」と説明した。

遺影には65歳ごろに撮影した写真が使用された。次男の俳優加藤頼(38)と朗読DVDの収録をした際、仕事終わりに撮影したもので、頼は「和んだ空気になって、仕事ともプライベートとも言えない雰囲気になった。父もあのときの写真を気に入っていました」と明かした。

会場横に設けられた第2会場には、加藤さんが生前自宅の稽古場に置いていた台本や衣装、ポスターなどが展示された。また、頼や長男で俳優の夏原諒(43)と映っている家族写真なども飾られ、会場を訪れた人たちはなつかしそうに写真を見つめていた。

お別れ会には関係者600人、ファン400人の計約1000人が集まった。会葬者献花が午後2時からにもかかわらず、朝8時から会場に並ぶファンもいたという。

お別れの言葉は「大岡越前」や「水戸黄門」で共演した里見浩太朗(81)、俳優座の養成所時代から親交があり映画「忍ぶ川」などで共演した栗原小巻(73)が述べた。

遺族代表あいさつでは頼が「カーテンコールで見送ってあげてください」と参列者に呼びかけ、600人のカーテンコールが会場を包み込んだ。【杉山理紗】