黒木華(28)と多部未華子(29)が3日、先月15日に亡くなった樹木希林さん(享年75)との思い出を語った。都内で行われた映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」(13日公開、大森立嗣監督)特別試写会に出席。女優としての教えやプライベートに関する直球質問を受けたエピソードを披露した。また、希林さんが2人を「自分の跡を継ぐ俳優」と、話していたことも明かされた。

黒木と多部は、あでやかな着物姿で「KIMONO de CINEMA」と題した特別試写会に姿を見せた。主演の黒木は、希林さんから学んだ着物に対する考え方について触れた。「(希林さんの)お着物の着方を見て、盗もうと思いました。年齢の重ね方が着物に出る。『女優さんは着物を勉強しておかなきゃダメよ』と言われました」と、希林さんとの貴重な思い出を披露した。

映画は茶道を通して、1人の女性が成長する姿を描く。希林さんは茶道教室の先生を演じた。昨年11月下旬から約1カ月、神奈川県内で撮影が行われた。

黒木と多部にとって、希林さんとの共演は初めてのことだった。黒木は「共演したかった女優さん。役を生きるということを感じられて、何てありがたいと思いました」。さらに「自分で運転してこられて、車も格好良かった。選ばれるものも全部すてき。じっくり丁寧に選んだものかな」。多部は「正確にセリフを言うのではなく、セリフを自分の言葉として発している。間近で見てすごいなと」。それぞれ、初めて触れた希林さんの女優としての力量やセンスに心を動かされた。

希林さんは若い2人との距離を積極的に縮めた。多部は「いろいろな話をしましたが、『どこに住んでいるの』『誰と住んでいるの』『付き合っている人はいるの』『整形しているの』とか、直球でいろいろなことを聞かれました」と告白。黒木もうなずきながら「(男性は)どんな人がいいですかと聞くと、『自分と同じくらいの人しかこないわよ』と。そうなんだ、もうちょっと頑張ろうと思いました」と笑顔を見せた。

アドバイザーの観世あすか氏によると、希林さんは出演をためらっていたが、黒木が主演すると聞き、考えを変えたという。観世氏は「希林さんは黒木さんと多部さんを『2人はしんのある役者。自分の跡を継いでくれる』と何度もおっしゃっていた」と話し、2人に期待を寄せていたことを明かした。希林さんが残した言葉をかみしめ、かけがえのない作品の公開を前に、2人の表情は凜(りん)と引き締まっていた。【近藤由美子】

◆「日日是好日」 20歳の春、典子(黒木)はいとこの美智子(多部)とお茶を習うことになった。2人は意味も理由も分からない所作に戸惑う。近所のただ者じゃないとウワサの茶道教室の武田先生(樹木)は「お茶はまず形から。先に形を作っておいて、後から心が入るものなの」と教わる。就職の挫折、大切な人との別れ。人生の居場所が見つからない典子だが、毎週お茶に通い続けることで、何かが変わっていく。