8月に亡くなった津川雅彦さん(享年78)の最後の演技は怖いくらいだった。

津川さんの最後の主演作「鳩 Pigeon」(11月公開)の特別上映会が12日都内で行われ、マレーシア出身の共演女優、シェリファ・アマニや行定勲監督(50)がマレーシア・ペナン島で行われた撮影時の様子を振り返った。

行定監督は「津川さんは残された時間を考えておられたのでしょう。役作りだけに集中して、共演者とコミュニケーションを取ることが無かった」。アマニは「話しかけるどころか、怖くてとても近寄れなかった。でも、撮影が終わった瞬間に目で私を捜してくださって、ハグしてくれました。本当は優しい人。忘れられません」と当時を振り返るように目を潤ませた。

共演の永瀬正敏(52)も「いつもは楽しそうに映画作りに参加する津川さんが、全然違いました。改めて存在の大きさを感じました」と言う。

映画はアジアの旅をテーマにした「アジア三面鏡 リフレクションズ」3部作の1作で。他の1本「ビヨンド・ザ・ブリッジ」に出演した加藤雅也(55)もあいさつに立った。加藤は「劇中では30代と60代を演じました。旅を通じていろんなものが見えてくる作品です」と話した。