渥美清さんが主演し、1969年(昭44)8月27日に第1作が公開された映画「男はつらいよ」50周年を記念した50作目の新作「男はつらいよ50 おかえり、寅さん」(仮称、19年12月27日公開)製作発表会見が31日、都内の東宝スタジオで行われた。

山田洋次監督(87)は、1996年(平8)8月に亡くなった渥美さんが最後に出演した、95年の48作目「寅次郎紅の花」以来23年ぶりに新作として製作される今回の映画で、寅次郎の現状については触れない考えを明らかにした。

「男はつらいよ50 おかえり、寅さん」は、吉岡秀隆(48)演じる車寅次郎のおい諏訪満男と、後藤久美子(44)演じる、かつて満男の恋人だったイズミ・ブルーナの再会を軸に描かれ、そこに旧作のシーンを織り交ぜていく形で製作される。山田監督は質疑応答で、寅次郎の状況は説明するかと聞かれると「そのことには、触れないようにしています。死んでしまったみたいなことは、もちろん言わないし…かといって、どこかで必ず生きているのよというセリフもない」と説明した。

山田監督は、その真意として、倍賞千恵子(77)演じる寅次郎の妹さくらら、劇中に登場する寅次郎の肉親の心情をおもんぱかったことを明かした。「特に、さくらさんの前では、そのことは言ってはいけないというタブーが、きっと、くるまやにはあると思う。さくらは、どこかで生きていると信じていて時々、夜中に亡霊の寅さんと会っているのかも知れない。もう帰ってこない、みたいなことは言ってはいけない…肉親は、そう思っている。行方知れずという方向は、ずっと続いていると考えています」と語った。

山田監督は、満男と寅次郎のおい、おじの関係性を重要なポイントとして考えていると力を込めた。「満男が20数年ぶりにバッタリと泉に再会し、もう1度、恋の炎が燃え上がる中、お互い家庭があり難しい…それが主軸になる。何かにつけ、思い出す寅さんのこと、いろいろな言葉、学んだこと…思春期から大人になる大事な時期に、寅というおじさんがいた。親は既成概念を植え付けがちだけど、そこに穴を開けたのが寅。おじさんから学んだことが、どれだけ大切だったかと今、思う…そうした流れの中で展開されていきます」と物語について語った。

その上で、山田監督は漫画化されてベストセラーとなった、吉野源三郎の小説「君たちはどう生きるか」を引き合いに「『君たちはどう生きるか』が漫画化され、ヒットした。つまり…あそこに登場するのが、まさにおじさんと、おいの会話。絶妙さ。子どもには、おじさんが必要。いないと不幸。どれだけ幸運だと思うのか…という映画にしたい」とも語った。

「男はつらいよ」と言えば、2002年(平14)に亡くなった山本直純氏が作ったテーマソングが有名で、同氏は映画音楽を担当していた。山田監督は今回の映画の音楽について、94年「拝啓 車寅次郎様」、95年「寅次郎紅の花」、97年「寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」で山本氏とともに音楽を担当した、同氏の長男純ノ介氏(60)が制作すると明らかにした。山田監督は「繰り返し、演奏されたテーマは使いますけど、この映画独自の音楽は必要。息子の純ノ介君と作りたい。彼が、きっとお父さんの作った音楽を土台にし、いいものを作ってくれるだろうと思います」と期待した。【村上幸将】